マランツ PM8003、軽やかにサラリと聴ける音って気持ちいい
■あっさりヘルシーなサラダ味
低域がほどよく締まり、サラッとあっさりスピーカーを鳴らす。DENONのようなこってりしたソース味ではなく、ヘルシーなしょう油味だ。エネルギー感もほどほどで、むしろ静かな音楽が似合いそう。力まかせでゴリゴリ押すんじゃなく、いい意味での軽さがある。相撲でいえばスピーカーとがっぷり四つに組むのでなく、サラリと体をかわして鳴らす感じだ。
音の輪郭はにじまず、どちらかといえばエッジをわりに出してくる。その証拠にスピーカーは棚置きのあまりよくないセッティングで聴いたのだが、低域はまったくボケなかった。この低音なら合格だろう。
組み合わせた機器はCDプレーヤーがマランツのSA8003、スピーカーはB&W CM5だ。よくいわれることだが、B&Wにはマランツのアンプが合うことを再認識した。
CM5は以前、同じマランツのPM-13S2とも組み合わせたが、スピーカーを力強く鳴らそうとするPM-13S2より、むしろPM8003の方がCM5の端整な優雅さが出て「らしい」気がした。これもPM8003のいい意味での軽さ、あっさり感ゆえだろう。
■涼やかな寒色系のソースが映える
スピーカーがCM5なせいか、音の温度感はどちらかといえば寒色系だ。そのため70年代のR&Bやスワンプロックのような熱い音楽より、録音がいい90年代以降のECM系ジャズやフュージョンが合う。ホットな暖色系のソースより、涼やかな寒色系のソースが映えるのだ。
また年代でいえば比較的新しい音楽がよく、最近の打ち込み系のソースなどもバッチリだった。ただし総体的にはあまりソースを選ばず、どんな音楽でも楽しめるアンプといえるだろう。
以前のマランツの低価格製品は「高域がキンつく」などといわれたりしたが、少なくともこの機種はそんなことはなかった。シンバルのアタック感が強いソースでは高域がやや耳についたが、これは組み合わせたCM5(というよりB&W全般)のツイーターのインパクトが強いせいもあるだろう。
マランツのアンプはPM-13系、PM-11系ならわりに聴いているが、PM-15系未満の下位機種はほとんど聴く機会がなかった。だが今回、PM8003を試聴してみた感想は「マランツ侮りがたし」だ。興味がわき、PM7003もちょい聴きしてみたがコストパフォーマンスが高い。やっぱり試聴って大事だなぁ。
【関連記事】
「ツンデレな貴婦人、B&W CM5を聴く」