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音の暖かさ、冷たさはどこで決まるか?

絵の具を混ぜるように音は調合できる

 暖色系の音、寒色系の音、という言葉をよく耳にする。その音は暖かみがあるか? それとも冷たく感じるか、という意味である。

 ではそもそもオーディオ機器が出す音の暖かい、冷たいを、人間はどこで判断しているのだろうか? その大きな要素のひとつが高音の質だ。

 たとえば人間は高音がキラキラしていると、その音をひんやり冷たく感じる。そして「クールな音だ」と認識する。高域が派手で華やかなB&Wのスピーカーなどはその典型だ。

 ただしそのB&Wのスピーカーも、古いタイプの真空管アンプやラックスマンのA級アンプのような暖色系アンプで鳴らせば、相応の暖かみが出るからおもしろい。つまりパレットの上で絵具を混ぜ合わせるように、音は「調合できる」のだ。

「原音を忠実に再現すべし」

 そう信じている人は多い。だが任意のスピーカーとアンプを人間が勝手に組み合わせている時点で、音はすでに「調合されて」いる。そう考えれば結局のところ大事なことは、「その音はあなたが楽しめる音なのかどうか?」だけである。

アーチストの「意図」通りに再生すべきか?

「◯◯なスピーカーで自分の曲を聴いてほしい」

 オーディオ・マニアには奇妙な幻想がある。

 それは「アーチストなるものは何らかの意図をもって曲を作ったはずだ」「とすれば彼らはその意図通りの聴き方をされるのを望んでいる」「つまりアーチストは『◯◯なスピーカーとアンプで自分の曲を聴いてほしい』という願望をもっているにちがいない」という幻想である。

 つまりオーディオ・マニアはそれだけアーチストに対し、「オーディオに一目置いてほしい」と無意識のうちに願っているのだろう。

 だが残念ながらアーチストは、ぶっちゃけ自分の作った曲がどんなオーディオで再生されるのか? なんて考えちゃいない。彼らにとってはどうでもいいし、そんなことは想像すらしない。

 たとえば私は楽器を演奏する人間をたくさん知っているが、彼らの中にオーディオ・マニアは1人もいない。いやマニアといわず、「オーディオにこだわりや興味のある人」にハードルを下げても結果は同じだ。なぜなら彼らはオーディオにではなく、「音楽に」興味があるからだ。

 だからオーディオの知識のない演奏者も多いし、ゆえに「自分の作った音楽は◯◯のオーディオ機器で再生してほしい」などとは、そもそも考えようがない。すなわち楽曲が「どんな聴かれ方をするか?」はアーチストの発想ではなく、あくまでリスナーの側の発想なのだ。

 リスナーは自分の好きなアーチストの音楽を、それに合う(と自分が感じる)オーディオ機器で再生することに強いこだわりがある。ゆえに「あのアーチストの音楽はこのスピーカーとあのアンプで聴こう」「このジャンルや年代の音楽は◯◯なオーディオ機器で聴こう」などと考える。

 リスナーにすればそれこそがオーディオの醍醐味なのだが、オーディオに興味がないアーチストからみればちょっと不思議な光景かもしれない。

 アーチストは自分の作りたい音楽を作りたいように作るのみ。そのあと自分が作った音楽がどう聴かれるかには関知しようがないし、またそれはリスナーの側の自由裁量でもある。つまりどんな味付けをして音楽を聴こうが、リスナーの勝手なのだ。

 ゆめゆめ、原音(アーチストの意図)通りに再生すべきだ、なんて幻想にハマってはいけない。
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Dyna-udia

Author:Dyna-udia
DYNAUDIOというスピーカーに出会ったせいで、こんなブログをやってます。

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