ATC SCM40、猥雑で暴力的なエネルギーの塊

空間表現が巧みで音場感もよし
猥雑で暴力的、ハッキリした解像感がありながらエネルギッシュに躍動する。空間表現が巧みで音場感もいい。壮大なスケール感がある。複数の魅力的な要素を兼ね備えたスピーカーである。
音像のリアリティはDYNAUDIOに劣らず、しかもDYNAUDIOより線が太い。やっぱり自分の好みはDYNAUDIOかATCだな、との思いを強くした。組み合わせた機器はPASS INT-150、およびマッキンのプリC-50+パワーMC452。CDトランスポートはエソテリックのP-02、DACもエソのD-02だ。
とにかくこの中域はすばらしい。ワイルドなギターサウンドががっつり鳴る。トリプルギターのレナード・スキナードを爆音で鳴らしたときには思わずひっくり返りそうになった。楽器でいえば、60年代初期のオールド・ストラトをTubeのマーシャルにぶち込んでかき鳴らしたような感じなのだ。
ゆえにご推察の通り、ジェシ・エド・デイヴィスやドクター・ジョンなど70年代のスワンプ・ロックがバリバリ鳴る。もちろん70年代のリトルフィートやアレサ・フランクリンも抜群だ。明るくノリのいい昔のアメリカンロックやR&Bのおいしいところを引き出せる。ゴキゲンである。
組み合わせたPASSのINT-150はゴリ押し一辺倒のアンプだろうと見くびっていたが、案外、立体的な空間表現がよくてびっくりした。もちろん駆動力も十分だ。エソテリックもこのクラスになると下位機のカリカリした嫌らしさがなく、すんなり聴ける。極上のスピーカーが仲立ちになり、組み合わせた機器のいいところが素直に出た感じだ。
鳴らす空間が広くなければ、SCM40といわずSCM19でもATCのよさは堪能できる。やっぱり心中してもいいと思えるスピーカーはDYNAUDIOかATCで決まりだ。