PRIMARE CD22、ヨーロッパ的な翳りある空気感

微かにくすんだ愁いある響き
ほのかな艶と潤いがあり、ヨーロッパ的な愁いの漂う音色だ。そのためバイオリンなどの弦楽器が艶やかに美しく響く。色付けが濃いわけではないが、微かにくすんだ音色が作る陰影感が味わい深い。
余韻を感じさせる鳴り方がうまく、フッと音が消えた瞬間の間(ま)がとてもいい。音の消え際に美学がある。憂いや儚さを音で表現できる感性豊かなプレーヤーである。DACチップにはバーブラウンのPCM1792を採用し、192kHz/24bit サンプリングに対応している。
「音色を味わう楽しみ」がある
帯域バランスがフラットで解像感があり、立体的な空間表現が得意だ。そのため似た傾向のSOULNOTEやNmode、ONKYO製品と同列に論じられがちだが、音色はかなり異なる。
これら国内メーカーの音色は一様にドライで乾いており、誤解を恐れずにいえば無味無臭だ。PRIMAREとちがい「音色を味わう楽しみ」がない。彼らの武器は音色ではなく、位相特性や過渡特性などもっぱら物理特性的な要素である。この点がフラット系国内ブランドとPRIMAREは大きくちがう。
CD22はこれら国内ブランドと同様、音のにじみや緩さのない引き締まったタイトな音だ。だが無味乾燥ではない。このタイプの日本製品にありがちな、ある種の「味気なさ」とは無縁だ。むしろ情感豊かで雰囲気がいい。
そのため試聴では、漂うような浮遊感のあるマイク・モレノの気だるいギターがぴったりフィットした。また翳りのあるピアノを弾くダニー・グリセットのアルバム「STRIDE」もマッチしていた。
音色にはこだわらず、キレやヌケ、スピード、透明感を優先するならSOULNOTEやNmode、ONKYO製品を。一方、そうした性能に加え、味のある色彩感を楽しみたいならCD22はいい選択だ。