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ONKYO DAC-1000、冷たく透き通った静けさを聴く

ONKYO DAC-1000

あいまいさのないハッキリ感

 寒色系でハッキリくっきり、透明感のあるONKYOらしいテイストだ。「とにかく解像度が高くあいまいさのない音が好きだ」という人には支持されそうである。カッチリ硬く乾いた音色で、オーディオに艶や潤いを求める人には向かない。

 DACチップはTI社バーブラウン製PCM1795を、左右各チャンネルに1基づつ搭載している。

 今回の試聴ではCDプレーヤーと同軸デジタルケーブルで接続し、CDを聴いた。SOULNOTE dc1.0とも軽く比較試聴してみたが問題にならず(クラスが違うから当たり前だ)、結果についてはあえて触れない。

「開放感」とは対極にある厳格な音

 よくいえば落ち着いた静かな音で、躍動感やエネルギー感はさほどない。「弾む感じ」がなくいい意味で淡白だ。つまりノリのいい動的な表現より、静けさを聴かせるのが得意なタイプだ。ゆえにこの音を聴き、「大人しくてつまらない」と感じるか、「クリアに澄み切っていてすばらしい」と感じるかで評価は大きく分かれるだろう。

 聴いていて思わず「笑顔になってしまう」ような楽しい音ではない。眉間にシワを寄せ、何か哲学的な思考をするかのような音調だ。日本人特有の生真面目さ、神経質さが音に表れているといえるかもしれない。

 開放感や大らかさ、リラックス感とは対極にある厳格でナーバスな音の世界。トランペットの高音部やヴォーカルのサ行が耳につき、ぶっちゃけ私には「痛い音」だった。聴き疲れするタイプの人は要注意だ。買う前になるべく試聴で確認しよう。

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tag : ONKYODAC-1000SOULNOTEdc1.0

ONKYO C-7000R、繊細で透明感のあるクリアな響き


ONKYO C-7000R

PCM1792を2基搭載する贅の音

 クリアではっきりした音調がONKYO製品らしい。だが同社10万円以下のCDPとは明らかに格が違う。音の厚みと情報量が別世界だ。音符がみっちり詰まった密度感が心地いい。

 TI社バーブラウン製DAC、PCM1792を左右各チャンネルに1基づつ搭載しており、実売10万台前半クラスとしては珍しい贅沢な部材の使い方だ。

 ONKYO製品にしては重心が低く、ズシッとした手応えのある低音を聴かせる。適度なボリューム感はあっても曖昧に膨らませず、一定の量感を保ちながらズンと打ち出してくる。制動が利き、よくコントロールされた低音だ。

 ベースの音はパキパキした輪郭を出す硬い音ではない。むしろONKYOにしては心持ち丸めの音だ。だがデノン製品のような「丸さ」とは違い、音の滲みなどはまったくない。それでいてしなやかな弾力感をしっかり聴かせる。

 ただひとつ気になったのは、ソースがアコースティックなウッドベースであるにもかかわらず、エレクトリックの、しかもTUNEのようなアクティブ・ベース系の現代的な質感に思えた点だ。

 個人的には音さえ気持ちよければ「原音忠実再生」なんてあまりこだわりないし、ひとつの音作りとしてこういうのはアリだと思うが、気になる人は気になるかもしれない。試聴で確認してほしい。

 とはいえ音数の多さや空間表現、音の分離などいずれも水準をクリアしており、誰が聴いても好みからさほど大はずれはしないだろう。

SOULNOTE sc1.0と比較試聴してみた

 さて相対評価をするため、SOULNOTEのsc1.0と聴きくらべてみた。するとJeremy Peltのトランペットが耳に叩きつけてくるようなsc1.0に対し、C-7000Rは耳当たりがいい。剥き出しの音が躍動する感じの「荒ぶるsc1.0」に対し、人生経験を積んだ大人のような落ち着きを感じさせる。

 一方のsc1.0は若い音だ。血気盛んで元気いっぱい。ギラギラと生気をたぎらせながらリスナーに迫ってくる。対するC-7000Rは細やかでていねい、誤解を恐れずに言えば大人しい音だ。

 音像が湧き立つように立ちのぼるsc1.0に対し、C-7000Rはベースとドラムスがズシッと下方へ沈み、全体に音像がぐっと腰を落として鳴る。音場はどちらも適度に広いが、中音域が前に出るぶんsc1.0のほうが奥行きを感じさせる。

 くらべるとsc1.0は高域が耳につき、ソースによってはベースがやや膨らむが、破天荒な音の勢いがある。sc1.0の方が音場に立体感があり、音が前へ飛んでくる。音像が手前にある的を打ち抜いてくるような強い打撃感がある。

洒脱なリッキー・リー・ジョーンズが似合う

 実は最初、C-7000Rだけを聴き、「ONKYO製品にしてはエネルギー感があるな」と意外に感じた。だがsc1.0と聴きくらべると、やはり本機は泥臭くノリのいい楽曲より、リッキー・リー・ジョーンズ「Flying Cowboys」(1989年)のような繊細で洒脱な透明感のあるソースを再生させたほうが魅力的であることがよくわかる。

 ハッキリくっきり、クリアでごまかしがない。ONKYO製品の中では珍しく骨太で厚みや情報量もある。高域が耳に刺さらず、穏やかなのも個人的に気に入った。実売10万台クラスに貴重な一石を投じる、国内メーカーの有力な選択肢が名乗りを上げた感じだ。

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tag : ONKYOC-7000RPCM1792SOULNOTEsc1.0

マランツ PM5004、上位機ゆずりの解像感と立体感

マランツ PM5004

音像をくっきり描く寒色系の力持ち

 すっきりした寒色系のテイストは上位機ゆずりだ。なかなか解像感があり、楽器の音像をくっきりと描き出す。

 低価格だがあなどれない駆動力があり、意外にエネルギー感を感じさせる鳴り方をする。低音はタイトで膨らまず、カチッと力感をもって押し出してくる。「か弱く華奢」というマランツのイメージはもう過去のものかもしれない。

 音場感もこのクラスとしては買いだ。音像のセパレーションがよく、複数の楽器が左右へワイドに広がる。例えばDALI ZENSOR 1のように空間表現の得意なスピーカーと組み合わせれば、広がりと立体感のある三次元的な音が楽しめる。

「高域にクセがある」、「音が薄い」と感じる人がいるかもしれないが、実売わずか2万円台の製品である。そこは個性と割り切り、少ない予算で立体感のあるハッキリした音を楽しみたい人にはおすすめだ。

【追記】 (2011年11月11日付)

 再度試聴してきた。スピーカーがDALI ZENSOR 1、CDプレーヤーはCD5004という組み合わせだが、すごいリアリティだった。3点セットの合計が実売わずか8万円で、この音なのだから驚きだ。寝室用のサード・システムとしてまじめにほしくなってきた。

【追記】 (2011年11月16日付)

 また聴いてきた。やはりPM5004+CD5004はソースによっては高域、シンバルやヴォーカルのサ行が人によっては耳につくかもしれない。好みの問題なので試聴で確認してほしい。

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tag : マランツPM5004DALIZENSOR1CD5004

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DYNAUDIOというスピーカーに出会ったせいで、こんなブログをやってます。

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