DALI ZENSOR 1、実売2万円台の衝撃

音像くっきり、生々しいリアリティ
こもり感のないハッキリした音を出す。音像がクリアで生々しい。その割に耳当たりが優しく、聴き疲れしないのもポイントが高い。
反応がよく俊敏で、曲の起伏に応じて機敏に鳴る。歯切れがいい。DALIの中ではモニター的な位置づけに思えるが、いわゆるモニター系の無味乾燥な音じゃない。イキイキと有機的だ。
中音域が利いており、ピアノやギター、ヴォーカルが前に出る。低音は芯のあるコリッとした質感で好みの音だ。引き締まっていてよく躍動する。あいまいさのない鳴り方だ。
ほどよくタイトな低音で、ムッチリ密度感のあるタイプではない。ゆえにJ-POPの打ち込み音やHIP-HOP等の肥満した低音に耳が慣れている人は、「低音が足りない」と感じるかもしれない。このへんは好みの問題だから試聴で確認してほしい。
ホログラフィックな音像に酔う
では音場感はどうだろう。このグレードのスピーカーにしては音場が広く、定位もなかなかいい。奥行きもちゃんと表現する。
ギター、ピアノ、ドラムスなど各楽器の分離がいいため、複数の音像がセンターに集まり団子になったりしない。空間描写が立体的だ。3次元空間に浮かび上がるホログラフィックなその音像は、今まで聴いた実売2万円台のスピーカーの中ではいちばん実体感があった。
個人的にはアコースティックな音を聴きたい気がするが、打ち込み系の音楽も苦にしないのでJ-POPなども合うだろう。
ボケない低音とよく歌う中高域。彫りが深い音像は分離がよく立体的――。もちろん価格なりの要素もあるが、数ある長所を量りにかければコストパフォーマンスは高い。このクラスではありえないレベルだ。なるべく低価格でいい音が聴きたい、というわがままなあなたにはぴったりだろう。
【追記】 (2011年11月13日付)
マランツのPM5004、CD5004と組み合わせ、再度試聴してきた。やはり音像クッキリですごいリアリティだった。音に広がりがあり、立体的な空間表現もいい。この音で3点セットの合計が実売わずか約8万なのだから驚く。寝室用のサード・システムとしてまじめにほしくなってきた。
【関連記事】
『マランツ PM5004、上位機ゆずりの解像感と立体感』