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ONKYO A-7VL、手応えよく躍動する速い低音


ONKYO_A-7VL


バーブラウン製DAC、PCM1796をデュアルで搭載

 今回はONKYO期待の新製品、デジタルアンプのA-7VLを試聴できたのでレポートしよう。組み合わせた機器は、スピーカーがFOSTEXのG1300、CDプレーヤーは同じONKYOのC-7000Rだ。

 まず目を引くのは下位機のA-5VLと同様、単品プリメインアンプでは珍しくDACを搭載している点だ。A-5VLと同じく、TI社バーブラウン PCM1796(192kHz/24bit)をL/R各チャンネルに1基ずつ搭載し、川上の機器とデジタル接続できるようになっている。

機敏でガッツのある低音に驚く

 さて肝心の音をA-5VLと聴きくらべてみた。すると低音の鳴り方がまるで違う。A-7VLの低音は速く機敏でトランジェントがいい。ぐいぐい躍動する。ガッツのある質の高い低音だ。くらべてしまうとA-5VLの低音は大人しく、まったり、ぼんやりして聴こえる。(ただしA-5VLだけを単体で聴くと違和感はない。あくまで「A-7VLとくらべれば」の話である)

 またA-7VLの低音は起伏が豊かで粒が立っており、比較するとA-5VLの方はのっぺりした印象を受ける。A-5VLはサラッと表面を軽くなでただけのような低音だが、A-7VLはグイッ、グイッと手応えよく食い込んでくる。ONKYO製アンプの低音は総じてあっさり薄口だが、A-7VLは「これがあのONKYOの音か?」と感じさせた。

 一方の中高域は、どちらもONKYOらしく透明感のある繊細でスッキリ見通しのいい音だ。立体的な空間表現がうまいのもONKYOらしい。ただシンバルのアタック感や芯のある実体感は、価格なりにA-7VLの方が上だ。

解像度が高くハッキリした音が好みの人におすすめ

 まとめよう。A-5VLは全体に音を淡々と冷静に描写する感じだが、A-7VLは低音のエネルギー感が豊かなぶん、熱く元気に鳴る。以前書いたA-5VLのレビューでは、ノリのいい楽曲を再生させたときの物足りなさを指摘したが、A-7VLではその不満点がきれいに解消されている。そのぶんA-7VLは聴ける音楽の幅も広い。

 実売10万を切る価格でこの音が出てきたのだから、8~10万クラスのアンプはいよいよ激戦だ。解像度が高くハイスピード、涼やかでハッキリした音が好みの人にはおすすめだ。

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tag : ONKYO_A-7VLPCM1796FOSTEX_G1300ONKYO_C-7000R

バランスか? アンバランスか?

 最初は何の疑問もなく、SOULNOTEのsa3.0とsc1.0を同社のバランスケーブル「XL-750」で当然のようにバランス接続し、試聴していたのだ。だがふと、こんな疑問がわいた。

「これ、アンバランス接続するとどうなるんだろう?」

 で、さっそくMOGAMI 2534を線材に使ったRCAケーブルでつないでみたのだ。そしたらあなた、まあぶったまげましたよ。「ケーブルで音は変わるのか?」なーんていうのがまったくバカらしくなるぐらいちがうのだ。

 MOGAMI 2534はフラットで素直な音質だとばかり思っていたが、冒頭にあげたSOULNOTEのバランスケーブル「XL-750」とくらべると低域がゴリッとしていて下が太い。筋肉質で低域にみっちり密度感がある。一方のXL-750は高域の粒子がこまかく、音が鮮烈で非常に解像度が高い。

 で、「こりゃ好みの問題だなぁ」と考えながら同じ曲を1曲づつケーブル抜き差しして聴きくらべるうち……だんだん比較するのがバカらしくなってきた。両者のちがいを実感するほどに、「XL-750以外では聴く気がしない」てな感じになってきたのだ。

 まず解像度があまりにちがう。解像度にからきし無頓着な私がアホらしくなるくらいなのだから推して知るべしだ。XL-750の方は、ジョアン・ジルベルトがつま弾くアコースティックギターの高音弦の音が、まったくつぶれずクッキリ出る。再生がむずかしい低音弦もボケさせず、音の輪郭をはっきり聴かせる。

 ヴォーカルのリアリティもすごい。つぶやくように歌うジョアンのくちびるの内側が微妙に濡れながら、口元がピチャッと音を立てているのがわかる。

 またXL-750は、音を構成する成分がより細かく見分けられる感じだ。音の分離がえらくいい。特に高音のキレがよく、シンバルの響きがまるでちがう。音像の彫りも深く、音が音場いっぱいにふつふつと三次元的に満ちあふれて行く感じだ。この立体感とくらべると、MOGAMIの方は平板に感じてしまう……。

 ケーブルでふつうに音は変わる。これが「同じ音だ」なんて言ったら鬼が笑うよ、まじで。

tag : SOULNOTEsa3.0sc1.0XL-750MOGAMI_2534

似たもの夫婦か? 相互補完カップルか? ~オーディオの組み合わせを考える

 オーディオ機器は、大雑把にいって二種類に分けられます。それは、(1)同じ方向性の機器と組み合わせてこそ個性が生きるタイプと、(2)あえて逆方向のものを組み合わせることが成立しうるタイプの機器です。

 では(1)は、どういう機器か? たとえば解像度の高さを武器にするものや、立体的な空間表現が魅力のもの、またトランジェントのよさを身上とするものなどが一例です。

 こういうキャラの機器に逆方向のタイプの機器を組み合わせてしまうと、そこがボトルネックになって出てくる音トータルとして本来の持ち味が出せなくなります。(例/解像度が低くなる、空間を表現する能力が落ちてしまう等)

 つまり(1)に属するタイプの機器は、解像度が高いもの同士、空間表現が得意なもの同士を組み合わせてこそ、その機器ならではの個性がより発揮できるわけです。たとえば前回レビューしたSOULNOTEなどは、(1)のグループに属するタイプの典型です。

逆方向の組み合わせでバランスを取る

 一方、(2)のタイプの機器は一例として、音色の味わいや美しさなど、音色の個性をウリにするものなどがそれに当たります。

 たとえば「この機器は(自分の好みに比して)あまりにも冷たい感じが強すぎるな」と思えば、それと逆方向のもの、つまり暖かみのある音色の機器と組み合わせることで、出てくる音がトータルとして暖色系の方向に振られてバランスが取れたりします。

 この場合の「暖かい/冷たい」というのはもちろん一例です。ほかにも、音が「硬い/柔らかい」、音に「潤いがある/カラッと乾いている」などいろんなパターンが考えられます。

 で、こうしたポイント(音色)を売り物にする機器は、自分の好みに応じて同じ傾向の組み合わせにしたり、逆方向のものを組み合わせたりして出てくる音色を微調整し、好みの音に変えられるわけです。ちなみに、互いの足りない部分を補い合う後者のようなパターンを、相互補完の関係といいます。

 自分が所有する機器にどんな機器を組み合わせればいいのか? これは悩ましい問題です。そこでこんなふうに、その機器は(1)のグループに属するタイプか? それとも(2)か? てなことを考えてみるのも一案です。

tag : SOULNOTE

SOULNOTE dc1.0生産終了、できるなら「この音のまま」仕様だけ変えてほしい

SOULNOTE dc1.0

音のひと粒ひと粒が爆発的に躍り立つ

 4月1日にSOULNOTEの単体DAC、dc1.0が生産終了と発表された。初めはエイプリルフールかと思ったが、どうやらそうじゃないらしい。そこで去り行く名機を惜しみ、過去に何度か聴いた印象を書き残しておこう。

 当時組み合わせた機器はスピーカーがDYNAUDIO CONFIDENCE C1、アンプはSOULNOTE sa3.0、CDプレーヤーはSOULNOTE sc1.0だ。

 まず特徴的なのは贅沢な部材の使い方である。バーブラウン社製・PCM1792Aをデュアルで搭載し、DACとは思えない400VAもの大容量Rコアトランスが目を引く。

 出てくる音も贅沢だ。躍動感がすばらしく、音のひと粒ひと粒が爆発的な推進力で躍り立つ。生命力の固まりだ。勢いに圧倒され、ふと気づくと聴いてるうちに上半身がうしろにのけぞっている。音がビシビシ飛んでくるので本能的によけようとしてしまうのだ。

 具がパン生地からはみ出したハンバーガーのように、音像がワイドにあふれ出す。音が「空間に満ちる」感じだ。音場の幅と奥行きが広く、起伏も豊かである。ドラマーのAri Hoenigのブラッシングが、まるで3D映像のように右前へせり出してくる。ホログラムみたいだ。

 音像はキリキリと絞れてぜい肉が取れ、定位がピンポイントになる。ヴォーカリストの口元がレリーフのように浮かび上がり、なんだか美術館でくちびるの絵を見ているかのようだ。低音は十分な量感がありながら、輪郭をにじませない。解像度がとんでもなく、顕微鏡で「音を見ている」ような感じである。

ギラギラと熱気をはらむエレキギターの質感

 今度はdc1.0を何度もつないだり、はずしたりして聴きくらべてみた。dc1.0をつなぐと、人間の全身の血管にスーッと血液が行き渡るような感じになる。みるみる生気にあふれて行くのだ。

 シンバルの音でいえば、ちょうどB&Wの800シリーズとCMシリーズのような違いがある。dc1.0をかますとシンバルの音に「カツーン」と芯ができ、強いアタック感が生まれる。

 逆にdc1.0無しだとCMシリーズのように、「シャリッ」とシンバルの表面だけをなでている感じになる。音が浅いのだ。もちろんシンバルだけでなく、ギターやピアノの音も太く厚みができる。特にエレキギターの音は鋭角的でソリッドな質感が出る。ギラギラと熱気をはらむアツい音だ。

 同じSOULNOTEのCDプレーヤー・sc1.0と組み合わせれば、50万クラスのCDPを軽く超える音になることが体感できた。

「44.1kHz専用でUSB対応なし」の漢な仕様が……

 それにしても生産終了である。

 ここ数年でPCオーディオがにわかに脚光を浴び、「44.1kHz専用でUSB対応なし」という漢な仕様が今となってはマーケットニーズに合わなくなったのだろうと邪推できるが……ただ仮に後継機種が出て仕様が変わり使い勝手がよくなっても、「その音」が自分にハマるかどうかが問題だ。「dc1.0の音のまま」で、仕様だけ便利になってくれればいいのだが。

 そういう意味ではdc1.0は、唯一無二の存在のまま歴史の幕を閉じることになる。心から「お疲れさま」と言ってやりたい。

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『SOULNOTE sc1.0、鮮烈でハイスピードな切れ味の凄み』

『SOULNOTE sa3.0、ぶっちゃけエクセレントである』

tag : DYNAUDIOCONFIDENCEC1SOULNOTEsa3.0sc1.0dc1.0

SOULNOTE sc1.0、鮮烈でハイスピードな切れ味の凄み

SOULNOTE_SC1.0
シャープな中域がぐいぐい前に出る

 いまどき珍しいCD専用プレーヤーだ。CD再生にすべてのコストを注ぎ込んだ実力はいかに? 音の違いがわかりやすいよう、今回はキャラが対照的なDENONの1650AEと聴きくらべた。組み合わせた機器は、スピーカーがDYNAUDIO CONFIDENCE C1、アンプはSOULNOTE sa3.0だ。

 DENON 1650AEからsc1.0に替えるととたんに解像度が上がり、音像が斬れるようにシャープになった。音場のもやつきが消え、スッと見通しがよくなる。定位も明確になり、広い音場が体感できた。

 ベースのノリは1650AEの「ドッスーン」ではなく、「ビシッ」、「ビシッ」に変わった。スピードがぜんぜん違うのだ。恐ろしくキレがいい。音の鮮度感が明らかに上で、くらべてしまうと1650AEの方はまったり眠い音に聴こえる。

 帯域バランスもかなり変わった。sc1.0は中域の押し出しが強い。1650AEでは下にあった重心が上に上がり、ベースの音が引き締まった。

 低域の量感が後退したぶん、相対的に低域に埋もれていたギターやピアノの音が耳に飛び込んでくる。まるで鼻づまりが直ったみたいに高域までスッと音が通り、生きたレンジが広がった。

ハガネのような音像がビシビシ飛んでくる

 音色もそれまでの優しく暖かみのある温度感から一変した。ヒヤリとする高域が耳につくぶん、スキッとしたメントールのような寒色系に感じる。艶や潤いとは対極にあるドライな音だ。カリフォルニアの空のようにカラッと乾いている。

 あえてウイークポイントを探せば、人によってはシンバルやトランペットの高音部が耳に刺さるかもしれない。まあこのへんは好みの問題だ。よく指摘される読み込みの遅さは、私はあまり気にならなかった。

 おもしろかったのは、再生開始から時間がたつと驚くほど音が変わることだ。鳴らし始めは「エネルギー感なら1650AEといい勝負だな」と思っていたが、手をかざせば本体から熱を感じる頃になるとはっきり1650AEよりエネルギッシュになった。

「スタンッ!」と切れまくるスネア、ミュートをバシバシ決めながら唸りを上げるベース。ものすごい躍動感を伴いながら、ハガネのように硬質な音像がビシビシ飛んでくる。切れ味鋭く鮮烈だ。リラックスするために聴く音では決してないが、ハイになりたい気分のときにはいい。というか、この音の鮮度に慣れたらもう後には戻れないだろう。

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tag : SOULNOTEsc1.0DYNAUDIO_CONFIDENCE_C1sa3.0

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