OCTAVE V70、瞬発力と静寂感が同居した「超」真空管アンプ

■タイトな切れ込み感が気持ちいい
真空管アンプらしからぬ、タイトな切れ込み感と涼やかさが気持ちいい。低域はきっちり締まっているが、バンドのドラマーが踏むバスドラの瞬発力をしっかり表現している。ベースギターの音もタイトだが、ただしあまりエッジの利いた音調ではない。
組み合わせた機器は、スピーカーがDYNAUDIOのCONFIDENCE C1、CDプレーヤーはYBA PASSION 200だ。
■ピアノトリオの静寂感や余韻が引き立つ
ドイツ人ピアニスト、ウォルター・ラング・トリオのアルバム「Smile」(2002年)を再生させると、彼ら独特の翳りや余韻、静寂感がひときわ映えた。またジョン・スコフィールドの「Hand Jive」(1994年)では力感を見せつけ、ビル・スチュワートの叩くドラムがはじけるように躍動していた。
ただ激しいノリの楽曲になるとベースを中心に低域の音階がやや混濁し、各楽器の分離感もあいまいになるのが惜しい。
とはいえトータルとしてはかなりデキがよく、購買意欲をそそられたアンプだった。「真空管」という言葉が持つほんのりしたイメージの音ではなく「鋭さもほしい」という人にはおすすめだ。