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付帯音や歪みが「味」になる音楽とそうでない音楽

 ちょっと前にマグネシウム製のインシュレーターを自宅試聴したが、即、オクラ入りにしてしまった。スピーカースタンドの天板の上にかましたが、解像感のある澄んだ音にはなるけれど私の聴く音楽には合わないのだ。

 特にそれがハッキリ出たのが、70年代スワンプの雄、Jesse Ed Davisのファースト・アルバムに収録されている「Reno Street Incident」だった。スネアの音がまるでちがうのだ。

■ある種の「濁り」や雑味がグルーヴを生む音楽もある

 私はふだんはゴム系のインシュを使っているのだが、マグネシウム・インシュに替えるとスネアの音がめっきり細くなる。バスドラの重さや踏み込み感、量感も一変した。ベースギターのリズミカルな跳ね方も驚くほどちがう。リズムセクションが一体となってダイナミックにうねるドライブ感、グルーヴ感もガックリ落ちる。音楽のノリ自体がまるで変わってしまうのだ。

 付帯音のようなものがなくなりクリアになるのだが、その付帯音は「味」なのだ。似たようなことは「歪み」に関してもいえる。例えばエレクトリック・ギターのディストーションサウンドを思い浮かべてもらえばわかりやすいが、ある種の歪みはエネルギー感や躍動感を生む。音が歪んでいるからこそ、70年代のスワンプロックやR&Bの泥臭さや粘っこいノリが出る。機器が生むノイズやある種の歪みが、コクや旨みになる音楽もあるということだ。

 つまりこのマグネシウム・インシュは私が聴く音楽には合わなかったが、逆に澄み切っていればいるほど「よい」とされる音楽にはマッチするはずだ。たとえばクラシックを聴く人には好ましい音の変化だろう。透明感や解像感が増してバイオリンの響きがきれいに通りそうだし、濁りのない音ほど「Hi-Fi調でいい」と感じる人には合いそうだ。

 製品のレビューや口コミではもっぱら「よい」、「悪い」だけが取り沙汰されがちだが、「それはどんな音楽を聴いた結果なのか?」がわからなければ何の意味もないのである。
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