ALR/JORDANに低域の甘いアンプは禁物である

●ALR/JORDAN Entry M
■実売10万以下では無敵のロック向きスピーカー
ALR/JORDAN Entry Mはアンプによってえらく低域がユルくなったり、逆に理想的にタイトになったり差が激しい。(よく解釈すればそれだけ潜在能力が高く、アンプを奢れば奢るほど木に登るってことだ)。ゆえに今回のレビューは、あくまで低域が締まるKRELL KAV-400xiと組み合わせた結果であることをお断りしておく。
まずキャラ的にはモニターオーディオと同じく、ロックやR&Bに向くガッツのある熱い音だ。KAV-400xiで鳴らす低域には緊張感がみなぎり、全域にわたり驚くほどスッキリしている。適度にエッジが立ち、ベースラインもはっきり聴き取れる。低音にはしっかり芯もあり、ロックを聴くスピーカーとしては実売10万以下では無敵ではないか? と思えるほどだ。
実際、B&WのCM5や685と聴きくらべてみたが、ロックにはこっちが向いてるなぁ、と感じた。低域のよさだけでなく中音域が利いており、ヴォーカルやギターの音がよく通るのだ。同じく中音域に特徴のあるモニターオーディオのSilver RX1とも比較したが、個人的にはEntry Mに軍配を上げたい。こんなにほめていいのか? とも思うが、同じシリーズのEntry Siはまったくいいと感じないのに、Entry Mの方はこれだから不思議である。
というかMと同様、Siもアンプを分不相応に奢れば激変するのかもしれない。おそらくALR/JORDANは他ブランドとくらべ、アンプでゲタを履く比率が高いのだろう。私はSiはクラス相応のアンプ(DENON PMA-1500AE~2000SE辺り)でしか聴いてないので、今度もっと上のクラスで試してみようと思う。
とまあ、こう思うのも実は、今回これだけほめている同じEntry MをDENON PMA-2000SEで聴くと……とても聴いちゃいられないくらい(悪い方に)激変するからなのだ。(2000SEがダメだ、って話じゃなく相性の問題である)
もちろん2000SEだけでなく、ほかのアンプもあれこれ試してみたが機種によってえらくちがう。アンプを替えると低域がこれほど際立って変わるスピーカーもめずらしいんじゃないだろうか。
「ALR/JORDANに低域の甘いアンプは禁物」とメモしておこう。これだからオーディオはむずかしい。
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