GOLDMUNDって「土の臭い」がしないよね


■エッジが利いたキレとスピードのあるクッキリ系
GOLDMUNDといえば世の中みんなが有難がるブランドだが、へそ曲がりなのかどうも私は好みじゃない。今回の試聴はそれをハッキリ自覚できた貴重な体験だった。
聴いたのはプリがGOLDMUND MIMESIS SR P2.3、パワーアンプは同MIMESIS 28 ME。スピーカーは毎度おなじみ我が家のDYNAUDIO CONFIDENCE C1、CDプレーヤーはAccuphase DP-85である。
音はひとことで言ってキレとスピードがあり、引き締まってエッジの利いたハッキリクッキリ系だ。定位や音場感はいいが、私の苦手な寒色系の薄口しょう油である。音楽に繊細さや透明感を求める人には向くが、聴いていて「ふと気づくと無意識のうちにカラダでリズムを取っていた」という音では決してない。すなわち私みたいに「音楽は躍動だ」てなタイプの人間には合わない。
音色はESOTERIC SA-50のレビューで書いたのと同じく、トーンコントロールのTrebleをグッと上げ、かたやBassを下げ気味にしたかのようなトーンだ。スピーカーとスタンド天板との間に金属系のインシュレータをかました音が好きな人には好みだろう。よくいえば華麗でブライト、悪くいえば無機的で低音域をカットしたかのような音である。
そのため低音の利いた熱くファンキーな音楽がサッパリ合わず、持参したアレサ・フランクリンやリトルフィートのようなソースがえらく寒々しい。カサンドラ・ウィルソンもツンと澄ましてよそ行きの顔になってしまった。聴いててぜんぜんウキウキしてこないのだ。
やっぱ、GOLDMUNDって「土の臭い」がまったくしないよねえ。逆に(アメリカの泥臭い系じゃなく)ヨーロッパの静謐感のあるピアノトリオとか、耽美的なECMレーベルあたりの音はぴったりハマるのだろうが。
前にも書いたがオーディオ機器はグレードではなく、「何を聴くか?」が問題なのだ。
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