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LUXMAN D-06 vs ESOTERIC SA-50、水と油なハイエンド対決の結果やいかに?

LUXMAN D-06

LUXMAN D-06

ESOTERIC SA-50

ESOTERIC SA-50

D-06は暖色系で力感と厚みが特徴、SA-50は寒色系の凛々しい音だ

 国内各社から似たような時期に似たようなクラスのSACD/CDプレーヤーが出揃い、よりどりみどりな今日このごろである。

 そうなると聴きくらべてみたくなるのが人情だ。で、さっそく先日聴いたばかりのESOTERIC SA-50と、今度はLUXMAN D-06を比較試聴してきた。組み合わせたアンプはKRELL KAV-400xi、スピーカーはFOSTEX G1302だ。同じ曲を1曲づつ、SA-50とD-06で交互に再生させて聴きくらべた。

 だがきちんとした試聴室ではなく雑然とした店頭だったため、1曲目に選んだJohn Scofieldの「Busted」(アルバム「That's What I Say: John Scofield Plays the Music of Ray Charles」収録)ではまったくちがいがわからず、思わず「もう一度おねがいします」と頼んでしまった(店員さん、すんません)

 で、何曲か聴きくらべるうち、LUXMANESOTERICそれぞれのブランドイメージ通りの音作りであることがわかってきた。

 ひとことでいえばLUXMAN D-06は暖色系で力感と厚みがあり、耳に刺さるような痛さのない口あたりのいい音だ。一方のESOTERIC SA-50は寒色系でキリッとした凛々しいテイストである。

■ドラムのスネアに力強いアタック感があるLUXMAN D-06

「ラックストーン」はすでに過去のことかと思いきや、そのイメージ通りLUXMAN D-06はSA-50とくらべて角を丸めた音だった。全体に音が太く、そのためにエネルギー感や躍動感がある。またSA-50よりドラムのスネアに力強いアタック感があり、シンバルやハイハットの音には広がりが感じられた。

 一方、ESOTERIC SA-50は、D-06より音が細身で粒子も細かい。メリハリのある音作りだ。楽器の音にもエッジを利かせている。それがよくわかったのはPat MethenyとBrad Mehldauのデュオ作品「Say the Brother's Name」(アルバム「Metheny Mehldau」収録)だった。

 アルバム中、この曲だけはLarry Grenadier(b)、Jeff Ballard(ds)を加えたカルテットなのだが、ESOTERIC SA-50の方はLarry Grenadierのベースラインにハッキリ輪郭がある。解像度が高く、音の「表面」まで見える感じだ。

 ベースギターのセッティングで説明すると、音が太いD-06とくらべてSA-50はベースアンプのTrebleをグッと上げ、かたやBassを下げ気味にしたかのような音である。このほうが音階は明瞭にはなるが、人によっては耳に「キツさ」を感じるかもしれない。

 もっともこれは好みの問題であり、あくまでD-06とくらべた場合の話だ。帯域バランス自体は重心が低いD-06よりSA-50の方がフラットに近い。

 このほかSA-50は音が細身で繊細さや透明感を感じさせる反面、これらの特徴とは相反する要素になりがちなエネルギー感ではD-06に一歩譲る。特に打楽器、たとえばドラムのバスドラやスネアの音に力強さや「弾ける感じ」が、D-06ほどはない。このへんはまあ、「華奢ゆえの美しさ」とトレードオフの関係だと考えるべきだろう。

 まとめると、D-06は躍動感や力強さが生きるロック・ジャズなどに向きそうだ。一方のSA-50は繊細さや音のエッジの明確さがクラシック向きといえるが、ほかにもアコースティックなソロギター演奏やソロピアノなども引き立ててくれそうだ。

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tag : LUXMAND-06ESOTERICSA-50KRELLKAV-400xiFOSTEXG1302

ESOTERIC SA-50 vs X-05、高域に嫌味がないぶんSA-50の勝ち

ESOTERIC SA-50
ESOTERIC SA-50
ESOTERIC X-05
ESOTERIC X-05

 ESOTERICがSACDプレーヤ「SA-50」を発売したので(というか半年前だけど)、同じエソのX-05と試聴対決させてみた。前回、お贈りしたDENON RCD-CX1と同PMA-390SEのお門違い対決よりはグレードに差がなく、緊迫した勝負が期待された。ただしX-05は過去の試聴でCM5、BLADELIUS Thor MK2と組み合わせた時に痛い目にあったのだが……さて結果やいかに。

■高域がカリカリと耳につくX-05

 まず試聴はSA-50から取りかかった。組み合わせた機材はスピーカーがDYNAUDIO CONFIDENCE C1、アンプはJeff RowlandのCapri SModel 102SLUXMAN L-509uだ。

 SA-50を含む構成から出る音は、自宅のシステムとくらべても違和感はない。我が家のアンプは朗らかで開放的な鳴り方をするATOLL IN100SEだ。ゆえに今回の試聴システムは自宅の音より全域にわたり締まっているが、これはアンプのキャラである。

 で、ふんふんと持参したCDをひと通り聴き終え、SA-50からX-05に切り替えた。するってえとあなた、とたんにシンバルやピアノの高音部が耳につくんですな。もちろんこのテの煌びやかな高音が好きな人なら、「高域に伸びがある」とか「華やかでブライトな高音だ」と好ましく感じるのだろう。

 だけど私から見ればどうしてもカリカリと耳障りに感じてしまう。なぜなら控えめでキツさのないDYNAUDIO謹製のシルクドーム・ツィーターで私の耳はふだんからフォーマットされているため、こういうキンつく高域(私の耳にはそう聴こえる)は苦痛なのだ。

 またX-05は強くクラッシュしたときのシンバルが突然耳に刺さってきたり、かと思えばスッと聴こえなくなったり。どうも音楽的に不自然さを感じた。金物の音に抑揚がついているといえばそうなのかもしれないが、どうも私の耳には釈然としない。ピアノの音色も潤いのないキリキリと嫌らしい音に感じられる……。

 確かにX-05は解像度が高く各楽器の分離感に優れるが、高域の嫌らしさとのトレードオフで私から見ればすべてのよさが吹き飛んでしまう(好みの問題だが)。私はこの機械で音楽を楽しめる気がしない。

■SA-50は空間表現がよく硬さもない

 一方のSA-50は空間表現がよく、音の質感もX-05のような硬さはない。高域にクセはなくフラットだ。またエソテリックらしく音のエッジは明瞭だが、従来機とくらべてパキパキに効きまくった疲れる輪郭じゃない。全体にX-05みたいな嫌みがないぶん、私にはベターな気がした。

 またUSBポートがあり、PCから出力したデータをSA-50のDACを介し再生できるのもいい。最近のオーディオ機器の新製品はUSB端子付のものが多いが、「時代の曲がり角だなぁ」って感じがする。

 しかし、である。「X-05よりはベターだ」とはいえるが、居並ぶ各社CDプレーヤーの中から積極的にSA-50を選ぶ気になるかどうかはわからない。エソテリック製品の中ではかなり気に入った方だが、能動的に選択するかといえば疑問だ。

 そもそも私はエソテリックの音が好みじゃないのだろう。透明感があり質は高いが、カチッとした音作りでどうにも冷たく無機的な印象だ。色気や情感、エネルギー感に乏しい気がする。優秀でマジメな優等生だけどユーモアのセンスがないおもろくない奴、みたいな感じ。たぶんクラシックを聴く人には合うのだと思うが、どうやら私には縁がない。

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tag : ESOTERICSA-50X-05CM5BLADELIUSL-509uATOLLCONFIDENCE

DENON RCD-CX1 vs PMA-390SE、グレードの違いより「何を聴くか?」が問題だ

DENON RCD-CX1

DENON RCD-CX1
DENON PMA-390SE

DENON PMA-390SE

「もわーっ」と、こもったいかにもDENONな音(?)

 DENONのレシーバ・RCD-CX1は前に一度聴いたことがあるが、「もわーっ」とこもったハッキリしない音で「いかにもDENONの音だなぁ」、「どこがいいのこれ?」てな印象しかなかった。そこで今回は無謀にも、同じDENONの新製品で格下のPMA-390SEのセットとじっくり聴きくらべてみた。

 するとハッキリわかったのは、「音のよさ」なるものは機器のグレードの違いより、むしろその機器で「何を聴くのか?」に大きく左右されるという定理だった。

PMA-390SEセットの方が明らかにいい!?

 今回、比較試聴したのはRCD-CX1SC-CX101(スピーカー)のセットと、PMA-390SE+DCD-755SESC-A55SG(スピーカー)のセットだ。前者は希望小売価格ベースで合計・約25万円、対する後者のセットは約14万円と、グレードがまったくダンチなお門違い対決である。

 じゃあRCD-CX1のセットから行こう。実は私はJ-POPのCDを1枚も持っていないので、この日のために知人からわざわざ借りておいたスキマスイッチのアルバムをまず再生させてみた。するとRCD-CX1は相変わらずぼんやりこもり切っており、まるで霧の向こうにある音を手探りで聴くようなありさまだった。

「なんだよ、試すまでもなかったな」

 で、今度は同じスキマスイッチをPMA-390SEのセットで再生させてみると……これがあなた、まあ元気よくシャキッと鳴るわけですわ。たとえば低音域はベースギターの音の輪郭がきっちり存在し、音階もきちんと聴き取れる。こもりまくっていたRCD-CX1とはえらい違いだ。

「おいおい、11万円も安いPMA-390SEセットの方が明らかにいいじゃんか」

 まったく驚きである。PMA-390シリーズといえば先代のAEバージョンなら何度か聴いていたが、まあノーコメントな音であんまり興味がなかった。それにひきかえSEバージョンはなかなかやるじゃないか。バンド全体の音の明瞭度が明らかにRCD-CX1セットより上なのである。1本・2万円ちょいのスピーカー・SC-A55SGとのバランスもいいし、「そろそろミニコンポを卒業したい」という人にとっては充分満足なデキだろう。

 念のためスキマスイッチのCDを、両者で交互に何度も再生させてみた。だけどやっぱりそれぞれの印象は変わらない。しかし11万円も安いセットの方がいいなんてありえるのかなぁ……。

 で、お次は何の気なしに、アコースティックなジャズの女性ヴォーカルをRCD-CX1でかけてみた。するってえとあなた、どえりゃーイイんですなこれが。ホントにびっくり。

 ヴォーカルの艶やかさとみずみずしさ、妖艶さがPMA-390SEセットとはまるでケタ違い。ピアノの厚みやドラムのスネアのアタック感も、明らかにPMA-390SEセットよりこっちの方が上だ。えらい豹変ぶりである。

 いったい何が起こったのか?

金額じゃない、よく聴く音楽と「相性のいい機器」を選べ

 両者をくらべると、価格が高いだけあって音の厚みはRCD-CX1セットの方がはるかに上だ。ところが家電量販店の騒がしい店頭では、「厚み」と「曖昧さ」は表裏一体の関係になってしまう。

 ぶ厚い音であるがゆえに周囲の雑音の中に埋没してしまい、単にこもった感じにしか聴こえなかったのだ。(反対にうすい音はそのぶんハッキリしていて、ザワついた環境の中でも聴き取りやすい)

 ところが女性ヴォーカルを再生させると持ち前の音の厚みが人間の声(ヴォーカル)に深みをあたえ、成熟した女性ならではの妖艶な美音として結実したのだ。

 実はこれと似たようなことはONKYOのコンポにも言えていて、価格の安い機器ほど不思議なことにJ-POPが「より映える音」になったりする。で、反対に打ち込みではなくアコースティックなしっとりした音は、総じて価格の高い機器の方がより持ち味が出る。

 たぶんこの差は録音時のミキシングの違いに起因するのだろう。てことは自分の好きな音楽をいい音で聴こうと思えば、単純に価格の高い機器を選ぶのではなく、その音楽と相性のいい機器をチョイスするのがキモになる。

 要は機器のグレードではなく、「何を聴くか?」が問題なのだ。


(追記)

 RCD-CX1は柔らかく角のない音だ。だから音色がそれと同傾向のDENON製スピーカーで鳴らすと柔らかさが強調されすぎ、ボケた音になる可能性が高い。無論そういう音を狙うなら別だが、音像をもっとハッキリさせたいなら少しエッジを効かせるために、FOSTEX GX100B&W685のようなスピーカーを選ぶといいかもしれない。

 またPMA-390SEのセットに関してはアンプとCDP、スピーカー3者のバランスがよく、特段スピーカーを替える必然性は感じなかった。あえて組み替えるなら、ペア5万円前後以下ではJBL 4312M II BKMonitor Audio Bronze BR2tangent EVOなどが候補になるだろう。

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tag : DENONRCD-CX1PMA-390SESC-CX101DCD-755SESC-A55SGGX100BR2B&W685tangent

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DYNAUDIOというスピーカーに出会ったせいで、こんなブログをやってます。

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