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SONY TA-F501、「デジアン」とひと括りにするなかれ

SONY TA-F501
「デジアンはドライで無機的」という先入観を破る

 以前から気になっていたフルデジタルアンプのTA-F501だが、たまたま機会がありじっくり試聴できた。ひとことでいうとちょっと驚いてしまった。デジアンに対する先入観がきれいに塗り替えられてしまったからだ。

 デジアンといえば今までONKYO製品やSOULNOTE、Nmode、エソテリック、フライングモールなどを聴いている。だが彼らのもつクールで無機的なイメージとはかなりちがった。

 これらの機種は一様に乾いた音色で、デジアン=ドライな音という印象があった。しかしTA-F501には(艶というほどベッタリはしてないが)、微かな「潤い感」がある。かつ、デジアンならではのスッキリ感を持ちながら、有機的で明るくほのかな暖かみも感じさせる。

各楽器のきれいな分離感と空間表現がいい

 もちろんデジアンならではのよさもある。ひとつひとつの楽器の音がきれいに分離し、中高域の涼やかさが印象的だ。特にシンバルの音がキツすぎず、だけれどもシャキシャキとキレよく美しく響いていた。

 音場が広くきれいに澄み渡り、立体的な空間表現がいい。音像を鮮やかに描き出す、デジアンらしい正確な再生ぶりも買いである。

 低域はやや緩くぼんやりしていたが、ひとつにはスピーカーがコンポーネントのSONY SS-K10ED(定価・約7万円)だったこと、またセッティングが雑な棚置きなのも大きいだろう。

 低域の解像度が高い10~20万クラスのスピーカーを、きっちりスタンドにセットして聴いてみたい気がした。

(追記・2010年3月6日付)

 きのうオーディオショップへ行き、同じ価格帯のONKYO A-5VLと比較試聴してきた。ONKYO A-5VLの方はCDプレーヤーにC-S5VL、スピーカーにはFOSTEX G1300をメインに、B&W 685やMonitor Audio SILVER RX1、ONKYO D-312Eなどいろんな機種で鳴らしてみた。

 一方、SONY TA-F501の方はソニーのコンポーネント「System501」(CDP/SCD-X501、SP/SS-K10ED)としてコーナーが取られ固定されていたので、残念ながら他の機器との組み合わせは試せなかった。

 まずONKYO A-5VLの方は、ペア30万円ほどのグレード違いのスピーカー・FOSTEX G1300を軽くドライブしていた。想像通り解像度が高く、ハッキリしたシャープな音だった。楽器の分離感や定位感、空間表現もかなりよかった。また上位機のA-1VLほどではないにせよ、ONKYO製品にしては思ったよりエネルギー感もあった。トータルとしては相当コストパフォーマンスが高そうだ。

 得意な音楽ジャンルとしては、ECM系ジャズのような涼やかで繊細、高音質なものがいちばんぴったりくる。だが意外に力感もあるため、ノリのいい音楽や打ち込み系のにぎやかなソースもイケる感じだった。

 お次はSONY TA-F501だ。こちらはA-5VLがやや苦手とするラフな音楽、すなわち70年代のR&Bやファンク、スワンプ・ロックなどの泥臭く粘っこい音楽がバシバシ決まった。実にホットな音だった。測ったように帯域バランスがフラットなA-5VLとくらべ、TA-F501セットの方は低域の適度な量感と弾力性があり、そのためエネルギー感や躍動感がA-5VLをかなり上回るからだ。

 楽器の分離感や定位感はA-5VLほどではないが、A-5VL同様、繊細で透明感のある音楽もいい。明らかにA-5VLよりソースを選ばない。

 まとめると解像度や定位、空間表現にこだわりたいならONKYO A-5VL。こちらは「頭で考える」分析的な聴き方に向く。一方、音楽のもつダイナミズムをまるごと「カラダで聴きたい」ならSONY TA-F501、みたいな仕分けができそうだ。

 組み合わせたスピーカーやCDPがちがうから単純な比較はできないが、TA-F501でDYNAUDIOのEXCITE X12あたりを鳴らすとすごいことになりそうだなぁ、てな予感がする。機会があれば、ぜひ試してみたいものだ。

(追記・2010年4月26日付)

 昨日、SONYのセットを、出来心でDENONセット(PMA-390SE+DCD-755SE+SC-CX101)と比較試聴してみたが、まるで勝負にならなかった。音場の広さやエッジのクリアさ、解像度など、ほとんどすべてにおいてSONYのセットが上回っていた。

 DENONセットは唯一、暖かみと艶やかさ、また弾力性のある低音がたくさん出るところが特徴的だったが、それだけという感じだ。

 特に両セットを並べて聴くと、SONYセットの音場の広さと空間表現の巧みさは際立っていた。対するDENONセットは、両スピーカーの中央に各楽器がなんとなく団子になっているだけ。実売ベースで合計5~6万円のちがいだが、「越えられない壁」というのはこういうものなんだろうな、と実感した。

(追記・2010年5月10日付)

 思うところあり、ひとつ上の追記で比較試聴したDENONセットとSONYのセットを、もう一度聴きくらべてみた。前回は90年代以降の音質がいいジャズばかりを再生させたが、今回はソースを替え、70年代の泥臭いR&Bでやってみたのだ。

 すると思った通り、アレサ・フランクリンやダニー・ハサウェイのような70年代のR&Bは、低音の量感がありパンチの効いたDENONセットの方が「らしさ」が出ていた。たぶん60~70年代のロックでも似たような結果が出るのだろう。アレサ・フランクリンを聴くときに必要なのは「熱さ」(=低音が生み出す躍動感やエネルギー感)であり、解像度や空間表現は二の次でいいのだ。

 うーん、やっぱり機器のグレードや性能より「何を聴くのか?」が問題なんだなぁ。これだからオーディオはむずかしい。

【関連記事】

『ONKYO A-5VL、精密画のように写実的な音を聴く』

tag : TA-F501SS-K10ED

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