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DACって本当に必要か?

ATOLL IN200 Signature
ATOLL IN200 Signature

DACは後回しでもいいのでは

 アンプとDACの購入相談を受けたのだが、率直に言ってあまりお役に立てそうにない。

 まずアンプはATOLLのIN200 signatureとのことだが……アトールのアンプはけっこう色付けが濃いので、買う前にしっかり視聴なさったほうがよろしいです。

 その上で気に入るかどうか? ですね。

 それからDACについては、ATOLLの製品は発売されてすぐ試聴しましたが非常によかったです。

 解像度が高く、ややもするとボケがちなギターの低音弦の音がカッチリ再現されていました。色味もしっとりでよかったです。

 ただしDACについては、まずアンプだけで鳴らしてみて、物足りなければDACの購入を検討する、というコースでいいんじゃないでしょうか。初心者さんならなおさらです。

 まずは音に耳を鳴らしましょう。では健闘をお祈りしています。

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Violaは音色を楽しむことができるアンプである

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我が家のViola

ソリッドなNmodeとはまるで反対だ

 メインのアンプをNmodeからViolaに変えた頃は、ニヤニヤ笑いが絶えなかった。

 だって「これほど正反対の音が成立するのか? オーディオってこれだから面白いんだよな」みたいな思いがこみ上げてくるからだ。

 Nmodeといえばまったく余計な色づけがなく、まるで透き通った蒸留水のように澄み切った音である。そこがいい。

「Nmodeには音の厚みがない」といえばその通りだが、その厚みなるのものは、つまりは色づけなのだ。それがないところがいいのである。

 ふつう、音の厚みといえばポジティブな意味に解釈される。Nmodeにはその厚みがないんだから、単純に考えたらこれは「ダメな音だ」ってことになる。

 だが、実はそこが真逆なのだ。厚み=余計なものがないから、いいのである。

Violaは逆に「厚みがある」ところがいい

 しかしViolaには、その音の厚みがある。これはNmode的な常識で考えたら、もう邪道でありダメな音だって話になる。だけど、そこがいいんだなぁ。

 色づけのないNmodeとは正反対の概念なのだが、そこが実はViolaのよさなのである。

 ここのところがNmode的な考え方に縛られていると、そうは考えられない。

 つまり複数の価値観を同時に同じ耳で許容できなければ、音が正反対のNmodeとViolaを同時に「いい」とは考えられないのである。

 これが実は音を「客観的に分析する」ということなのだ。

客観的に音を分析するのはむずかしい

 ふつう、オーディオの良し悪しを言うときには、その人の「個人的な好み」が尺度になってることが一般的だ。

 つまりAという機器の音が「好き」だから、「Aは良い」と判断する。これはきわめて主観的な判断である。

 だが「私はAの音が好き」だからそれ以外の音はダメだ、では主観的な判断だけで終わってしまう。世界が広がって行かない。

 そうじゃなくてAはここがこういいから「良い」。他方、それとは正反対の音が出るBは、あそこがああいいから「良い」。これが音を主観に頼らず客観的に分析するということだ。

 こう客観的に考えるコツは、とにかく自分というものを突き放し、「好きか嫌いか?」じゃない思考をすること。

「この音は嫌いだ」と思っても、「でもじゃあ、この音の良さっていったいなんだろう?」と考えてみる。自分の好みを離れて思考してみることである。

頭で考えた音とカラダで感じた音

 と、私はこんなふうにえらそうに言ってるが、自分がそうできているか? といわれれば疑問がある。

 確かにNmodeとViolaという正反対の音を同時に「いい」と思っているが、「いい」の中身がちがう。

 正直に言えばNmodeをいいと思うのは、位相がうんちゃらで空間表現が立体的だからだ、とか、トランジェントに優れ歯切れがいいからだ、みたいなどっちかと言えば「頭で考えて」出した結論だ。

 ところが一方、Violaをいいと思うのは理屈じゃなく、そう「カラダで感じて」いるからである。

 この音色はいいなぁ、とか、ズドンと重い音が飛んできて気持ちいいぞ、みたいな体感的な感覚だ。つまり私はViolaが好きなのである。

 そう考えれば私はNmodeに関しては客観的にいいと判断しており、かたやViolaについては主観(好み)でいいと感じていることになる。

 俺は客観的にモノを見られるぞ、なんてエラソーなことを言ってても結局はそういうことなのだ。

 その証拠に私、アキュフェーズのあのカリカリいう耳障りな高音を聴いただけで気絶しそうになり、とても「アキュフェーズは客観的にどこがいいか?」なんて考えられませんもん。

 とすれば結局、人は主観的に「好き」なものを聴いているんだなぁ。

 なんかオチない話ですんません。ハイ。

【関連記事】

『それは旧「レフィーノ&アネーロ」から始まった』

『オーディオ試聴のコツは「相対評価する」ことだ』

『我が家のニューフェイスが揃った』

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人は故郷に帰って行く

viola

C1初体験のアンプがViolaだった

 Dynaudioのスピーカーである愛機C1に関しては、購入するまであれやこれやの試聴遍歴がある。そしてC1を初めて組み合わせで聴いたのが、ちょっと前に購入したアンプのViolaだった。

 長い試聴の旅の初期の頃、秋葉原の今はなき某オーディオ専門店にたまたま行ったら、C1Violaのセットがそこにあったのだ。

 何の気なしに試聴をお願いしたら、出てくる音がすごいのなんの。まあハイエンドの音を聴いたのがそのとき初めての体験だったのだから無理もないが、とにかくインパクトが凄かった。

 で、当時はオーディオのことなんてよくわかってなかったから、「このスピーカーを買おう」と思ってしまったわけだな。そのとき聴いたその音は、Violaと組み合わせなければそうはならないのだが、てっきりこれが「スピーカーの音だ」と思ってしまったわけ。

 それからというもの、C1を買うまでに試聴の旅で何年もかかった。C1があの店にある、と聞けばどんなに遠くても出かけていった。で、やっとC1を買ったわけだが、そのとき持っていたアンプと組み合わせても当然、はじめてViolaで聴いた時の「あの音」にはならないわけだ。

「はぁー、オーディオってのはこういうもんか」とだんだん様子がわかってきた。

 で、所有するC1を好みの音で鳴らすため、自宅のC1を梱包してはタクシーに乗せ、オーディオ専門店へアンプの試聴に行く、という難行苦行が何年も続いた。

 そして出た結論としては、初めて聴いた「あの音」は結局、初めて聴いたその時の機材でなければ出ないのだ、という極めて単純なことに気づくのに何年もかかってしまった。

 そんなわけでいま我が家には、初めて聴いた時のアンプであるViolaがいる。度重なる女性遍歴を経て、初体験の女性のもとに戻ったようなものだ。「あの何年にも渡る試聴行脚はいったいなんだったんだ?」と思わなくもない。

 だがもちろんあれらの試聴はムダだったどころか、私にオーディオの何たるかをいろいろ教えてくれた。貴重な体験ができたと思っている。試聴機材をお貸しいただいたお店には感謝している。

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ViolaとNmodeは使い分けがきく

Nmode

高解像度なソースを厳格に聴くには?

 オーディオ批評は、常に客観的でなければならない。ゆえに今日も(好みに左右されず)客観的に書く。

 実は買ったばかりのViolaと、Nmodeを並べて聴いて非常に驚いたことがある。ソースによっては、あるいはリスナーの音の好みによっては、なんとNmodeViolaと使い分けできそうなのだ。

 具体的には、私が持ってるCDでいえば2000年代以降の音質のいい現代ジャズだ。加えて、Michael MarcianoかJames Farber、Michael Brorbyのいずれかが録音エンジニアを務めている盤なら、お好みでNmodeで聴いても不満はない。50万程度のアンプが、数百万のアンプと使い分けできる、というのだからびっくりである。

(ただし爆音でなく中音量か小音量限定。ゆえに疲れているときは小音量のNmodeがいい)

 ちなみに上述した3人のエンジニアが作った盤は、(1)解像度が高い(2)空間表現が立体的(3)高域が伸びて見通しがいい(4)透明感がありすがすがしいーーという点で一致している。つまりNmodeの特徴と同一なのだ。

 特に3人のうちMichael Marcianoは高域が煌びやかで、人によっては高域に強調感があると感じる音だ。これがNmodeのテイストとドンピシャで合う。また低域が絞れて人によっては低音の量感が足りないと感じる点でも、Marcianoの音作りとNmodeのテイストは一致している。

 したがって「オーディオの音を聴きたい」というのでなく「音楽を聴きたい」(ソースの良さ・特徴を味わいたい)という人なら、ViolaとNmodeをソースによって使い分けできるかもしれない、ということだ。

 ちなみに(1)解像度が高い、と書いたが、厳密には解像「度」ではなく解像「感」だ。客観的なデータとしての解像度が高い、ということではなく、耳に聴いた感じの「あっ、解像度が高いな」というテイスト。すなわち「解像感」である。ViolaよりNmodeの方が解像度が高い、という意味ではない。

 いやぁ、結論からいえばNmodeって厳格な音で、まるで合気道の達人が常に正座してメシを食ってます、みたいな鳴り方なんだよね。だから楽しげで和気あいあいとしたくつろぎ感のあるマイルス・デイヴィスの「スティーミン」はNmodeに合わないし、正座して音楽聴くとき限定なのだ。

 いや、それにしてもViolaとNmodeは使い分けがきく、ってビックリでしょ?

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我が家のニューフェイスが揃った

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ViolaのCadenzaとSymphony

 ツヤと潤いがある豊かな音だ。先代のNmodeと比べたらかなり色付けはあるが、味わい自体は非常にナチュラルで気にならない。とっても楽しく音が聴ける。

 Nmodeは音源を厳格にジャッジするための探査機みたいなところがあった。そのため、音質が現代ジャズと比べて落ちる50〜60年代のジャズが楽しく聴けなかった。アンプによって盤質の悪さが丸出しになってしまうのだ。

 そこで、Violaである。こやつのツヤと潤い、厚み、暖かさ、情報量が、古い音源のボトルネックを覆い隠し、聴きやすくしてくれる。穴ぼこを埋めてくれるようなもんだ。ゆえに、かなり音質の悪い盤でもドンと来い。もちろん2000年代の音質のいい現代ジャズならバッチリだ。

 Violaっていうくらいだからクラシックもイケルのだろう。私はクラは聴かないからわからない。聴く限り、いちばん威力を発揮するのは分厚く激しいロックだ。もちろんR&BやファンクもOK。ジャズもいい。Nmodeみたいには音楽ジャンルをまったく選ばない。

 我が家のDynaudioが得意な空間表現もバッチリである。楽器個々の音像があるべき場所にずらりと屹立し、立体的な音場が楽しめる。スピーカーが後方定位型なので音像が激しく飛んでくるような鳴り方はしないが、音像が存分に生々しく勢いがある。

 これでホントにオーディオは上がりだ。

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Violaがある風景



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Nmode X-PM100をおすすめする6つの理由

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50万円でハイエンドを手に入れる

 私はオーディオ市場に存在する70万~100万クラス超えのアンプなら過去にほとんど試聴したが、以下の6つのファクターにより、このクラスではNmode X-PM100に匹敵する製品は存在しないと断言できる。

 まずコストパフォーマンスだ。一般にX-PM100のような高解像度ハイスピードな機器はハイエンドと相場は決まっているが、本機は実売50万円を切る価格でそれが手に入る。驚異的なコストパフォーマンスである。

 第二に駆動力だ。おそらくこのアンプで鳴らせないスピーカーは存在しない。なにしろDYNAUDIOの「Evidence Temptation」(540万円)が鳴るのだから何をかいわんやだ。

 第三に解像度の高さである。本機は透き通るような解像度の高さがあり、音の表面に描かれた模様まで読み取れるかのようだ。50万クラスのアンプで、これほど解像度の高い製品を私は過去に聴いたことがない。

強烈なダンピングの効いた辛い低音が出る

 さて第四は、本機の最大の特徴である低域の速さだ。一般に低音は量があればあるほどコントロールがむずかしくなる。音が立ち上がるタイミングが遅れたり、音が消えるタイミングが後ろにずれて余計な余韻が残ったりする。

 ところがX-PM100の低音は、立ち上がるべきタイミングで瞬時に立ち上がり、消えるべきタイミングで正確に消える。強烈なダンピングの効いた辛い低音が出る。非常にトランジェントがいい。

 しかも低音が速いアンプは往々にして低域が薄くてペラペラだったりするが、本機は充分な低域の量感と下方向へのリニアな伸びがある。

 そして第五は、これも最大の特徴である広い音場と立体的な空間表現である。まるで自分が天空の城に立ち、はるか下界を見下ろしているかのような感覚が味わえる。この本機の特徴を生かすには、ぜひDYNAUDIOのように定位や音場感がよく立体音響が得意なスピーカーを組み合わせるべきだ。

 最後のポイントは、細やかな繊細さとダイナミックな豪胆さが同居している点だ。本機は、このまったく相反するふたつの要素をどちらも表現できる。

 一般に、繊細な音の機器には豪胆さがない。逆に豪胆なタイプの機器は繊細な表現が苦手だ。このようにどちらか一方だけが得意なオーディオ機器が多く、両方できる製品は基本的にはハイエンドにしかない。この音が50万円クラスで手に入るのだから驚きだ。

使いこなしのコツは3つある

 ただし本機には、使いこなしの重要なコツが3つある。ここは気をつけたい。まずスパイクを使うことだ。これで音のキレがまったく変わる。

 次に、本機は出力モードとしてニアフィールドの「L」、それ以上離れた「H」という2つの出力モードを選べるのだが、後者のHモードは使わないことだ(若干ノイジーになることがある)。もっとも本機の高い駆動力ならHモードでなければ鳴らせない、などというケースは考えにくいのでいらぬ心配であるが。

 さて3つめは暖機である。本機は、電源を入れたまましばらく温めるとまるで別人のような鳴り方をする。もちろん電源を入れればすぐに聴けるが、この音の違いを体感してしまうと暖機は必須だ。

 もしあなたが万一、「X-PM100ってこの程度の音なのか?」と思ったら、騙されたと思って数時間、暖機してほしい。まるでジキルとハイドのように、そのときX-PM100はまったく別の顔を見せるだろう。

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tag : NmodeX-PM100DYNAUDIO

Nmode X-PM100、天空の城に立つ最強の超プリメイン

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こんな速い低音は聴いたことがない

 まるで自分が天空の城に立ち、360度、はるか下界を見下ろしているような見晴らしのいい音だ。広大な音場に首を突っ込んでいるような不思議な感覚。初めてDYNAUDIOのC1を聴いたとき、ちょうどそんな感じだった。

 こいつは強烈なダンピングの利いた辛い低音が出る。C1の引き締まった低音とまったく同じだ。一瞬にして音が立ち上がり、劇的な速さで収束する。トランジェントのいい速い低音だ。適度な量感もあり、エネルギー感豊かに躍動する。まるでC1と組み合わせるために生まれてきたようなアンプである。

 音場の広さと奥行き、立体的な空間表現のよさ。リアルで生々しい音像や驚異的なSNの高さ、透き通るような透明感や解像感が目を引く。まるで顕微鏡で音をのぞいているかのような感覚にとらわれる。圧倒的な情報量と駆動力、カラーレーションのないナチュラルさもすばらしい。

 そして何より音の背景の静けさがすさまじい。何もない空間がありありと感じられる。敢然と広がる音のない空間のリアリティに説得力がある。

アナログアンプと区別がつかない滑らかさ

 一方、アナログアンプと区別がつかない滑らかさとみずみずしさも大きな特徴だ。

 一般に従来のデジタルアンプは音が冷たく、金属的で、音が固かった。だが本機は、ほのかな暖かみすら感じさせる。音がしなやかで柔らかい。デジアンでよくある耳を刺すような痛さなどまるでなく、むしろ高域はまろやかでさえある。

 こんなデジタルアンプは今まで聴いたことがない。

 初めての試聴時には「よし、アラを探してやるぞ」と意気込んで聴き始めたが……ふと気がつくと音楽に聴き入ってしまい、音を分析・評価することなどすっかり頭の中から消えていた。こんなふうに思わず音楽に浸ってしまう製品は珍しい。歌心のあるアンプである。

100万クラスとくらべても光る音場感

 ちなみにPASSやOCTAVE、UNISON RESEARCHあたりの100万クラスのアンプと比較してみると……低域の押し出しと力感ならPASS、真空管とは思えない細やかさと優しさならOCTAVE、艶とコクで選ぶならUNISON RESEARCHという感じだ。

 だが音場の広さと立体感、透明感、トランジェントのよさでは、ハッキリX-PM100に軍配が上がる。結論として、トータルでは100万クラスの製品とくらべても遜色がない。

 というわけでいま我が家では、このX-PM100が、DYNAUDIOのC1嬢を歌わせている。うちのC1は過去何度か離婚を経験したものの、ついに安住の地を見つけたようだ。私のアンプ探しの長い旅も、これでついに終わったのかもしれない。

 だが同時に結局オーディオには「上がり」なんてものはなく、無数の通過点があるだけなんだという気も、今はしている。

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それは旧「レフィーノ&アネーロ」から始まった

 前回、秋葉原の路面にあった高級オーディオ店、旧「レフィーノ&アネーロ」の話をした。DYNAUDIOの取り扱い店だったこのショップには、ずいぶんお世話になったので思い出も多い。我が家のDYNAUDIO C1に組み合わせるアンプ試聴の旅をスタートさせたのも、このお店だ。

 担当して下さったのは、真空管アンプの猛者であるK氏だ。私が出した試聴希望機種があまりに多いので、試聴は何日かに分けて行うことになった。試聴機はすべてメーカーから取り寄せてもらった。

 試聴室を予約し、K氏とも相談の上、初日は真空管アンプを2機種入れた。まずトップバッターはUNISON RESEARCHの「Sinfonia」だ。

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 こってりした艶と潤いのある躍動的な鳴りで、深い味わいのある音だった。おそらくクラシックの弦楽やヴォーカルあたりを再生させると持ち味が出るのだろう。

 だが当時、私はすっかり高解像度ハイスピードでトランジェントのいい音にハマっていたので、このアンプの個性とは180度ちがう。で、あえなくボツになった。次の機材の搬入のためK氏が試聴室に入ってきた。感想を聞かれたが、どう返事したかは覚えていない。

 二番バッターは同じく真空管アンプの「OCTAVE V70」である。

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 OCTAVEはお気に入りのブランドだ。このアンプは気品のある音で、真空管アンプのいいところと、トランジスタアンプの長所を掛け合わせたような鳴りだった。

「真空管」というイメージに反し「ぼってりした音」ではなく、ソースによってはむしろシャープな切れ込みを見せる。だが真空管ならではの温度感や角のない丸さも備えている。

 かなり気に入ったが、ただ惜しいのは分離のよさが思ったほどでなかった点。ソースによっては低音がやや混濁するところも意に沿わなかった。K氏にはその旨を伝え、本日の最終バッターへ。プライマーのセパレートだ。
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 ご想像通り、このアンプは前の二者とは180度コンセプトが違う音だ。分離がよく、立体的な空間表現がリアルそのもの。解像度も高くトランジェントもいい。ここまでは私の希望通りだ。

 だが惜しいかな、ソースが合わない。例えば70年代の泥臭くホットなR&Bやスワンプロックを再生させると、音源の持つ(いい意味で)ワイルド&ルーズな「味わい」がまったく出ない。すごく「きれいな音」だが完全によそ行きデス、という感じ。前の2機種のようなホットさがない。

 まあ2000年代以降の録音のいいジャズやクラシックを再生させると文句なしなのだろうが、クラを聴かない私には宝の持ち腐れである。

 試聴の旅・第一弾である本日のセッションが終わり、担当K氏と顔を見合わせた。

「うーん、どれも一長一短なんですよねぇ。今日のアンプに50~100万出しても、得られる満足が価格分はない。それなら思い切って100万以上のクラスも視野に入れたほうがいいんでしょうかね。たとえばいつも聴かせてもらってるVIORAだったら、何もいうことはないんですけどねぇー」

 するとK氏があきれて一言。

「いやぁ、基準があれ(VIORA)になっちゃうと、ほかのアンプは聴いても意味ないですよ(笑)」

 かくて一回戦は終わり、ここから関東一円を巡るアンプ試聴行脚の長い長い旅が始まった。時にはC1をわざわざ梱包した上でタクシーにぶち込み、オーディオ・ショップに乗りつけたことだって何度もある。通算すれば、使ったタクシー代だけで軽くスピーカーが買えるだろう。

 気が向いたら、それら二回戦以降のアンプ試聴記についても、てんやわんやの泣き笑い行脚を書くかもしれない。

 では、乞うご期待。

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Luxman L-507uX、スキッとしたメントール系の爽快感が心地いい


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音の太さとキレを両立させたハイスピードなやつ

 一瞬のゆるみも許さないような音だ。ハイスピードで厳格そのもの。余計な余韻のようなものはなく、消えるべきタイミングでスッと音を消す。スキッとしたメントール系のさっぱり感は先代モデルと同じだ。

 澄み切っていてハッキリした解像感がある。音に厚みと太さがありながら、歯切れよくカッチリしている。エネルギー感も充分だ。トレードオフになりがちなこれらの要素をあわせ持つ機種は、この価格帯では、そうはない。

 ただしスローなジャズの女性ボーカルなど、まったりした色艶のある妖艶なソースは合わないかもしれない。このへんは使いようだろう。

 試しに同傾向と思われるプライマーのセパレートと聴きくらべてみたが、音の厚みは増したものの価格差を考えればいい勝負。次にこれまた同傾向であろうパイオニアのA-70に替えてみたら、さらに遊びがなくタイトに音が絞れた。

 まあ好みの問題だが、3機種ともそれぞれの価格なりに持つべきものは持っている。オーディオのグレード設定って、ほんとよくできてるよなぁ。

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プロフィール

Dyna-udia

Author:Dyna-udia
DYNAUDIOというスピーカーに出会ったせいで、こんなブログをやってます。

SP:Dynaudio Confidence C1 platinum,
Pre AMP:Viola Cadenza,
Power AMP:Viola Symphony,
DAC:SOULNOTE dc1.0,
CDT:SOULNOTE sc1.0

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