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「知らない」というのは恐ろしい

    C1_Platinum

DYNAUDIOにはすべてがある

 私は長くベースギターを弾いていたため、弾(はじ)けるような低音の瞬発力と歯切れのよさに強いこだわりがある。で、それらが得られるハイスピードなDYNAUDIOに一直線で惹かれた。

 まちがっても低域がまったりドンくさいB&Wなんかには行かなかった。

 また私はおとなしく控えめな高域が好みなので、その点でもDYNAUDIOのソフトドームツイータがばっちりハマった。まちがっても痛い高域が激しく耳に突き刺さるB&Wには惹かれなかった。つまりDYNAUDIOは上から下まで私の好みにぴったりなのだ。

 そんなDYNAUDIOは取扱店が少ないため、多くのオーディオマニアがDYNAUDIOの音を一度も聴いたことがない。不幸なことだ。

 あるオーディオマニアは言う。「スピーカーを消したい」と。

 はぁ? そんなもの、DYNAUDIOでは当たり前ですが?

 あるマニアは言う。「演奏者の立つ位置が手に取るようにわかる、立体的な音場感がほしい」と。

 えっ? そんなもの、DYNAUDIOなら「日常」なんだけど?

 あるマニアは言う。「ハイスピードでタイトでありながら、それらとは逆方向の要素である歯ごたえのある量感を備えた低音を得るには、いったいいくらの投資が必要なことか」と。

 いいっ? そんなもの、DYNAUDIOでは10万円台のモデルでも実現しますが?

 世の中、「知らない」というのは恐ろしい。

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tag : DYNAUDIO

DYNAUDIOのC1 Platinumに時代が見える

     C1_Platinum

消えて行く翳りと憂い

 我が家のメインスピーカーは、かつてはDYNAUDIOの初代C1、その後、同じくDYNAUDIOのC1 Platinumに乗り換えた。同じC1と名はついても、新旧モデルの違いは明瞭だ。

 C1 Platinumは昨今のオーディオ・トレンドを反映し、明るく朗らか。特に高域が旧モデルとくらべ華やかになった。屈託のない明朗さが特徴だ。さしづめ女優に例えれば、天然の綾瀬はるか、か。このへんは古くからのDYNAUDIOファンにはやや違和感があるかもしれない。

 それに対し旧モデルの初代C1は、微かな翳りと憂いをまとった上品な貴婦人だった。昔のDYNAUDIOらしい風情が漂う。私はそこが好きだったのだが、時代の流れには逆らえないのだろう。

 強烈なダンピングの利いた辛い低音のスピードは今も変わらない。変わったのは高域だ。これも高域が華やかで煌びやかなほどよく売れる、昨今のオーディオ市場を反映しているのだろう。

 古き良きものはなくなって行く運命にある。それはオーディオとて例外ではないようだ。

テーマ : オーディオ機器
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tag : DYNAUDIO_CONFIDENCE_C1_Platinum

FOSTEX G1300MG、透き通るような解像感と歯切れのよさ

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ソリッドで鋭角的な寒色系の鳴り

 スパッと斬れまくるナイフのようだ。ソリッドで鋭角的、金属質なその音は、「優しさ」とか「柔らかさ」などとはまるで対極にある。比較試聴したB&W 805Dのようなふっくらした厚み感や、音の重さもない。ひたすら軽やかでハイスピード、シャープな鳴りである。

 どこまでも透き通るような透明感と解像度が鮮烈だ。トランジェントもよく、ソースの変化に機敏に反応する。「ウォームな音がいい」という人にはおすすめできないが、高域が強くハッキリした歯切れのいい音が好みなら買いだろう。

 先代モデルと並べて聴きくらべたわけじゃないから確言できないが、低音の量が平均以下に絞れていた旧型より、下方向の量感が増した感じだ。

 シャープさにも磨きがかかり、かなり鋭敏、先代より全体にインパクトの強い音になった。(ただこの点はエージング不足かもしれず、正直シンバルの音などは耳に痛かった)。

 個人的には先代モデルの枯山水のように枯淡な味が気に入っていたので、現行モデルは彫りが深くなったぶん好みから離れた感じだ。もちろん「こっちの方が好きだ」という人はいるだろうから試聴は必須です、ハイ。

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DALI ZENSOR7、軽快でタイトな低音が心地いい


DALI_ZENSOR7

雑なセッティングでもこもり感がなくキレよく鳴る

 スケール感があり、広がりのある鳴り方をする。トールボーイにしては低域がタイトで軽快だ。B&Wみたいに「ズゥーン」と重い鳴り方はしない。このへんはいかにもZENSOR1の上位機種らしい。ハイスピードで繊細なパイオニアのA-50がよくマッチした。

 個人的にトールボーイは低域が膨らむ経験が多いので敬遠しているのだが、本機は割にこもり感もなくスッキリしている。雑なセッティングでも低音がキレよく鳴る。トランジェントがいい。トールボーイなので音像のサイズや定位感はそれなりだが、その弱点を補うスケール感があるので釣り合いは取れている。

 中高域も下の方と同じくヌケがよく、分離感もまずまず。中音域が利いており、女性ヴォーカルやピアノ、アコギのみずみずしさがよく生きた。繊細で透明感のある音だ。

 反面、60年代のR&Bや70年代のロックなど力強いソースでは、エネルギー感もしっかり出る。硬から軟までオールマイティなスピーカーである。

 こってり味か? スッキリ味か? といえばスッキリ味。濃いか? うすいか? といえばうす味のサッパリ系だ。ソースを選ぶ気配はないが、ナチュラルでアコースティックな音源が特によかった。コストパフォーマンスも高く、実売10万円を切るおトクなスピーカーだ。

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ATC SCM40、猥雑で暴力的なエネルギーの塊

scm40.jpg

空間表現が巧みで音場感もよし

 猥雑で暴力的、ハッキリした解像感がありながらエネルギッシュに躍動する。空間表現が巧みで音場感もいい。壮大なスケール感がある。複数の魅力的な要素を兼ね備えたスピーカーである。

 音像のリアリティはDYNAUDIOに劣らず、しかもDYNAUDIOより線が太い。やっぱり自分の好みはDYNAUDIOかATCだな、との思いを強くした。組み合わせた機器はPASS INT-150、およびマッキンのプリC-50+パワーMC452。CDトランスポートはエソテリックのP-02、DACもエソのD-02だ。

 とにかくこの中域はすばらしい。ワイルドなギターサウンドががっつり鳴る。トリプルギターのレナード・スキナードを爆音で鳴らしたときには思わずひっくり返りそうになった。楽器でいえば、60年代初期のオールド・ストラトをTubeのマーシャルにぶち込んでかき鳴らしたような感じなのだ。

 ゆえにご推察の通り、ジェシ・エド・デイヴィスやドクター・ジョンなど70年代のスワンプ・ロックがバリバリ鳴る。もちろん70年代のリトルフィートやアレサ・フランクリンも抜群だ。明るくノリのいい昔のアメリカンロックやR&Bのおいしいところを引き出せる。ゴキゲンである。

 組み合わせたPASSのINT-150はゴリ押し一辺倒のアンプだろうと見くびっていたが、案外、立体的な空間表現がよくてびっくりした。もちろん駆動力も十分だ。エソテリックもこのクラスになると下位機のカリカリした嫌らしさがなく、すんなり聴ける。極上のスピーカーが仲立ちになり、組み合わせた機器のいいところが素直に出た感じだ。

 鳴らす空間が広くなければ、SCM40といわずSCM19でもATCのよさは堪能できる。やっぱり心中してもいいと思えるスピーカーはDYNAUDIOかATCで決まりだ。

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B&W PM1、コスパの悪い聞かん坊

B&W PM1

窮屈で寸詰まったようなスケール感

 特有の「詰まった感じ」がすごく気になる。いかにも口径の小さいスピーカーという鳴り方だ。スケール感がなく寸詰まったような窮屈さと、やや籠もった感じの見通しの悪さがいただけない。同じB&Wの805Dと同様、低域のコントロールも難しそうだ。

 またアンプとの組み合わせや環境に敏感に反応し、スタンド設置なのに音がボケたり、逆に棚へ雑に設置されているのにスッキリしていたりする。まったく「女心と秋の空」なスピーカーである。

 いや本機の名誉のために言っておくと、コレだけ聴いていれば「いい」と感じるのだ。だが他機種と聴きくらべるとたちまち馬脚を現してしまう。たとえばあるショップで棚置きの個体を聴いたとき、たまたま最初につながっていたDALIのMENTOR2(実売22万円)のほうがはるかにヌケがよく好印象だった。

 また「どれぐらい違うのだろう?」と好奇心で聴きくらべた805Dとは、文字通り雲泥の差があった。ベースラインのエッジの明瞭さから音の立体的な広がり感、スケールの大きさ、シンバルの鳴り方まで、すべてにおいてPM1は「ちっぽけなやつ」だった。805DとくらべるとPM1はのっぺり平面的で、定位や音場感もパッとしなかった。

FOCUS160やATC SCM19の方が明らかに上だ

 これだけではアレなので、各種アンプと組み合わせた感想も書いておこう。まずスッキリ系のLUXMAN L-507uからL-550AXに替えると豊満なグラマラス美人に変わり、「これはこれ」という印象だった。

 次にL-550AXからマランツの13にチェンジすると、ハッキリ、すっきり、クッキリな音になる。ただしどっちがいい悪いの次元でなく、好みの問題だ。13はこってり泥臭い70年代のスワンプ・ロックはだめかなと思ったが、そうでもない。意外に万能な一面を見せた。

 ただしワイルドなアメリカンロックを熱く鳴らしたいなら、デノンの2000という選択もある。細やかさでは見劣りするが、2000でもまずまずそれなりに鳴った。だが本腰を入れてホットな方向へ行きたいなら、個人的にはもう少し予算を足してL-550AXを選ぶことをおすすめしたいが。

 結論としてPM1は、旧805Sを廃版にしてラインナップに30万クラスがなくなったために、メーカーがあくまで販売戦略上、そのクラスにあてがった機種という気がする。

 たとえば予算25~30万なら、議論の余地なくDYNAUDIOのFOCUS160やATC SCM19、FOSTEX G1300MGの方が明らかに上だ。そう考えるとメーカーの都合で生まれたPM1は、いかにもコストパフォーマンスの悪い製品に思える。同じB&W内で比較しても、旧805Sの方が上なのでは? という印象だ。

 すでに買う気になってる人はまちがっても上位クラスと聴きくらべない方がいい。805Dなんぞと比較試聴した日にゃ、「うわぁ、こりゃ女房を質に入れてでも805Dを買うのが正解だぞ」って気にさせられる。せっかく買うのにそんな気分になるだけ損である。

(追記)

 ただし思い出されるのはCM5が出た当時だ。リリースと同時にショップで試聴したが、CM5も発売直後はひどい音だった。ところがその後、各ショップに展示されている試聴機のエージングが進んだのか、どの店で聴いても真っ当な音に変わって行った。そう考えればPM1も、正当な評価を下せるのは1年後かもしれない。

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Klipsch RB-61 II、アメリカン・ロックが似合う元気系

Klipsch RB-61 II

ヌケのよさと開放感が気持ちいい

 近ごろのスピーカーには珍しく能率が95dBもあり、弾けるようにエネルギッシュな音だ。こもり感がなく、シャキッとした解像感・ハッキリ感がありながら元気がいい。

 クリプシュ製品の特徴であるホーン・ツイーターを採用しているせいか、ものすごくヌケがいい。スコンと突き抜けた感じが最高だ。特に中高域のヌケのよさは特筆もの。とても開放的な音である。

 中音域がキリッと立っており、サックスやヴォーカルがぐいぐい前へ出てくる。低音の質もよく、重いバスドラが歯切れよくズバズバ決まっていた。

 音色は明るく陽気な「いかにもアメリカ」の音で、アレサ・フランクリンやドクター・ジョンなど60~70年代のR&Bや泥臭いニューオーリンズ・ファンクがマッチした。リトルフィートやレナード・スキナードなど、アメリカン・ロックもばっちりだ。

 組み合わせたアンプは、このテの音楽が得意なデノンのPMA-2000SE。CDPも併せてデノン・コンビだと低域がモコモコになりすぎるので、CDPにはクッキリ系のONKYO C-7000Rを選んでバランスを取った。

 このスピーカー、元気なロックやジャズを聴くなら実売6~7万円クラスとしては無敵といっていい。超おすすめだ。

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DALI LEKTOR 1、元気に躍動する小柄なやつ

DALI LEKTOR 1

ウォームでずっしり重みがある

 暖かみのある音か? クールな音か? といえば暖かい音。太い音か? 細いシャープな音か? といえば太い音。元気な音か? 落ち着いた音か? といえば元気な音だ。 

 音符がギュッと詰まった密度感、躍動感があり、LEKTOR 2の下位機種らしくノリのいいロックやジャズに向く。音の分離も価格なりによく、音場感もありなかなか立体的に鳴る。

 DENONのRCD-CX1と組み合わせたが、このRCD-CX1は以前にも何度か、同じデノンのスピーカー・SC-CX101で聴いたがサッパリ冴えないボケた音だった。だがスピーカーが替わるとこうも変わるものか? というくらい別人に変身してびっくりした。

(おそらくSC-CX101は私が聴かないクラシックを再生させると力を発揮するのだろうが、いずれにせよ私には縁のないスピーカーのようだ)。

 さてLEKTOR 1を、同じDALIのZENSOR 1とも聴きくらべてみた。するとLEKTOR 1のほうが低音の量感があり、ズッシリ重みのある鳴り方をする。その意味ではLEKTOR 1が好みの人がZENSOR 1を聴くと、「厚みのないスカスカな音だ」と感じるかもしれない。

 ZENSOR 1はヌケがよく軽やかでハイスピードな反面、LEKTOR 1のようなみっちりした「厚み感」のようなものはない。

 またZENSOR 1のほうがドラムスのアタック感が鋭く強烈でインパクトがあるが(このあたりはZENSOR 1の音像が生々しいゆえんだ)、ただしその反面、ZENSOR 1は中高域がやや耳に痛い。

 その意味ではLEKTOR 1はまろやかで濃厚な音、かたやZENSOR 1はスッキリしていて鋭角的でシャープな音といえる。まあこのへんは好みの問題なので、試聴して決めてくださいませ。 

テーマ : オーディオ機器
ジャンル : 音楽

tag : DALI_LEKTOR_1DALI_ZENSOR_1RCD-CX1SC-CX101

DALI ZENSOR 1、実売2万円台の衝撃

DALI ZENSOR 1

音像くっきり、生々しいリアリティ

 こもり感のないハッキリした音を出す。音像がクリアで生々しい。その割に耳当たりが優しく、聴き疲れしないのもポイントが高い。

 反応がよく俊敏で、曲の起伏に応じて機敏に鳴る。歯切れがいい。DALIの中ではモニター的な位置づけに思えるが、いわゆるモニター系の無味乾燥な音じゃない。イキイキと有機的だ。

 中音域が利いており、ピアノやギター、ヴォーカルが前に出る。低音は芯のあるコリッとした質感で好みの音だ。引き締まっていてよく躍動する。あいまいさのない鳴り方だ。

 ほどよくタイトな低音で、ムッチリ密度感のあるタイプではない。ゆえにJ-POPの打ち込み音やHIP-HOP等の肥満した低音に耳が慣れている人は、「低音が足りない」と感じるかもしれない。このへんは好みの問題だから試聴で確認してほしい。

ホログラフィックな音像に酔う

 では音場感はどうだろう。このグレードのスピーカーにしては音場が広く、定位もなかなかいい。奥行きもちゃんと表現する。

 ギター、ピアノ、ドラムスなど各楽器の分離がいいため、複数の音像がセンターに集まり団子になったりしない。空間描写が立体的だ。3次元空間に浮かび上がるホログラフィックなその音像は、今まで聴いた実売2万円台のスピーカーの中ではいちばん実体感があった。

 個人的にはアコースティックな音を聴きたい気がするが、打ち込み系の音楽も苦にしないのでJ-POPなども合うだろう。

 ボケない低音とよく歌う中高域。彫りが深い音像は分離がよく立体的――。もちろん価格なりの要素もあるが、数ある長所を量りにかければコストパフォーマンスは高い。このクラスではありえないレベルだ。なるべく低価格でいい音が聴きたい、というわがままなあなたにはぴったりだろう。

【追記】 (2011年11月13日付)

 マランツのPM5004、CD5004と組み合わせ、再度試聴してきた。やはり音像クッキリですごいリアリティだった。音に広がりがあり、立体的な空間表現もいい。この音で3点セットの合計が実売わずか約8万なのだから驚く。寝室用のサード・システムとしてまじめにほしくなってきた。

【関連記事】

『マランツ PM5004、上位機ゆずりの解像感と立体感』

tag : DALIZENSOR1

FOCUS 110が生産終了って本気ですか?

FOCUS 110

実売10万台で「もうご馳走さま」なクオリティ

 DYNAUDIOのFOCUSシリーズが一新された。ブックシェルフはFOCUS 140の後継としてFOCUS 160が投入され、名機・FOCUS 110は生産終了らしい。驚いたと同時に「なぜあんないい機種をなくすのか?」と信じられない感じがする。

 あんな手頃な価格で「この水準をクリアしていればもう充分だろう」と思える音が手に入る――あのポジションをなくしては、ラインナップにぽっかり穴が開くのでは? と非常に疑問だ。

 今後おそらくFOCUS 110は、中古市場で一定の地位を築くことになるだろう。そこで去り行く名機を惜しみ、印象を書き残しておこう。

ヨーロッパ的な翳りと愁いが漂う

 今までの試聴でFOCUS 110を鳴らしたアンプは数え切れない。YBA PASSION 300 INTEGRE、PRIMARE I21、ATOLL IN100SE、同IN200、SOULNOTE da1.0、Nmode X-PM1……。どのアンプをつないでもアンプの色がはっきり出た。スピーカー自体に色付けが少ないため、アンプやCDPなど上流の個性が実に素直にあらわれるのだ。

 YBAをつなげば、やわらかく豊満な暖色系の低音が出る。SOULNOTEやNmodeで鳴らせば、ベースラインにエッジの利いたかっちりソリッドな音調になる。アンプの選び方次第で、変幻自在に好みの音が作り出せる。

 とはいえもちろんFOCUS 110にも固有の特徴はある。FOCUSシリーズの中では低音がいちばんタイトでハイスピード、トランジェントがいい。低域が豊満なFOCUS 140との比較では、反応が速く歯切れがいい110の方が明らかに好みだ。

 音色はひとつ下位機のEXCITE X12とくらべ、ヨーロッパ的な翳りと愁いが漂う。昔のDYNAUDIOよりは明るいが、それでもリリカルで繊細なピアノトリオが似合う「わびさび系」である。

 FOCUS 110のようにこなれた価格で、物理特性的な要素と雰囲気を両方兼ね備えたスピーカーは数少ない。程度のいい中古に出会ったらゲットする一手だろう。

【関連記事】

『DYNAUDIO DM2/6、実売10万クラスの最終兵器』

『DYNAUDIO SPECIAL 25、甘く大らかな母なるもの』

『「あたしを捨てるのね?」とAudience 42はけなげに鳴った』

『至高のスピーカー、DYNAUDIO CONFIDENCE C1を買った』

tag : DYNAUDIOFOCUS110FOCUS140EXCITEX12ATOLLIN100SE

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Author:Dyna-udia
DYNAUDIOというスピーカーに出会ったせいで、こんなブログをやってます。

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DAC:SOULNOTE dc1.0,
CDT:SOULNOTE sc1.0

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