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ゴム足と金属インシュ、アンプの音は変わるのか?

アンプのゴム足を金属製に替えてみた

 我が家のサブのアンプはゴム足だが、足を金属にすると音は変わるのか? 以前、単体DACの足を金属製スパイクに変えたらタイトで明快な音になったが、この法則はアンプにも当てはまるのか? 実験してみた。

 まず家に転がっていた金属製スパイク受けの中央のくぼみに、パチンコ玉を乗せた。これでアンプの底とパチンコ玉を点接点にすると同時に高さをかせぎ、アンプのゴム足を宙に浮かせる。で、このセットを3つ作り、三点支持にした。

 さて結果やいかに?

もやつきが消え視界が開ける

 金属足に替えてまず感じたのは、単体DACのときと同じ見通しのよさだ。音場に漂っていた低い帯域のもやつきが消え、霧が晴れたように視界が開けた。

 音場を覆うモワッとした低音成分が減ったぶん、相対的にピアノやギター、シンバルなど中高域を担当する楽器の定位が明確になる。同時にシンバルとピアノは硬質感が強まり、楽器の分離もよくなった。

 ベースの音は輪郭クッキリとまでは行かないが、量感が絞れてはっきりした。バスドラは音の滲みが減り、キレよく明瞭になる。やはり中高域より低域の変化の方が大きいようだ。

 そしていちばん目立ったのは奥行き感だ。低音が絞れたせいで、音場の奥で鳴るベースの音が遠くなり、そのぶん音場の奥行きが増した感じだ。

 今回の音の変化は、スピーカー底面とスタンド天板の間に金属インシュをかましたときや、単体DACの足をスパイクに替えたときと同じ方向の変化だ。つまり軟質系のインシュを、硬質系に替えたことによる効果である。スピーカーや単体DACのときほど大きな変化ではないが、それでもやはり金属足の方が音がスッキリした。

 アンプに関しては、60~70年代のこってりしたR&Bやスワンプを聴くならゴム足の方が向くが、最近よく聴くCriss Crossレーベル系のジャズの新譜を聴くには金属足がいい。音楽ジャンルによって使い分けがきく。

 やっぱり機器のセッティングはナメたらあきまへんな。

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スパイクとプラ足、音の違いを真剣に聴きくらべてみた

単体DACにスパイク足って意味あるか?

 我が家の単体DACの底には、もともとゴム底のプラスチック足がついていた。だが買ったその日に取り外し、何の疑問もなく金属製スパイク+スパイク受けに取り替えて使っていた。え? 「音をよくするためか?」って? いや単にスパイクとスパイク受けがそこにあったからだ。

 正直、「振動に敏感なレコードプレーヤーならいざ知らず、単体DACの足なんて替えても音など変わらないだろう」と思っていた。だからスパイクに替えたまま、惰性でずっと使っていた。

 だがたまたま気が向き、もとのプラ足に戻して音を聴きくらべてみたのだ。

 そしたらあなた、なんとまあびっくらこきました。音色がガラリと変わるだけでなく、音場の立体感まで豹変したのには驚いた。「参りました。私が悪ぅございました」てな感じだ。

低域のもやつきが消えキレがよくなる

 まずプラ足からスパイクに替えるとベースの音に芯ができ、エッジも程よく立って音階がハッキリする。そのため低域を覆っていたもやつきが消え、音場の見通しがよくなった。

 また低音のキレも変わった。ボンつきがなくなり、トランジェントがいい。音がスッと鳴り止んだかと思うと、次の音が遅れず「ドン」と勢いよく立ち上がる。

 音場のもやつきが取れたのは、音の「ぜい肉成分」が上から下までダイエットされたからだ。つまり低音がタイトになっただけでなく、中高域も引き締まった。おかげでプラ足時には録音が悪いせいでこもり気味なのだとばかり思えたMike Morenoのアコギの音が、はっきりシャープに変身した。

 楽器の分離もよくなり、「面」で押すところは押す、シャープにえぐるところはえぐる、というメリハリもついた感じだ。  

立体感が出て音場の起伏が豊かに

 最大の驚きは空間の造形だ。空気の壁に凹凸ができ、楽器の音像に立体感が生まれた。音場の起伏が豊かになったのだ。

 例えば音場の奥で鳴るドラムスとセンター前面のギター、というような奥行きの表現に深みが増した。特にドラムスはタムとスネア、シンバル類の前後関係がはっきりし、より立体的な鳴り方に変貌した。

スパイクの音はタイトで明快だ

 ゴム底のプラ足とスパイクを比較すると、プラ足はやわらかく口当たりのいい(よくいえば)骨太な音だ。ギターやベースなどすべての楽器の音が太い。そのため例えば泥臭く押しの強い60年代のR&Bなどをゴリゴリ鳴らすには向くかもしれない。

 一方、スパイクはタイトでキレのいい明快な音だ。ぜい肉が取れて音がやや細身になるが、低域の量感は(音楽的に必要な分は)充分に確保されている。明らかにこっちのほうが好みの音だった。

音を変えるのは素材だけではない

 さて今回の音の変化は、以前、スピーカー底面とスタンド天板の間にかましたゴム系インシュを金属系(マグネシウム)に替えたときと同じ方向の変化だ。

 だがスピーカーの場合はインシュを金属系に替えると、解像感やシャープさが得られるのと引き換えにエネルギー感が失われ、好みではなかった。

 一方、単体DACの場合は音が痩せて躍動感がなくなることもなく、量感や力感が適度にキープされている。スピーカーの時とは逆に、金属系(スパイク)の方がはるかに好みだ。ちょっと不思議である。

 想像するに……スピーカーの場合はセッティングによる音の変化が大きいため、インシュの素材で音質が激変する。だが単体DACの音の変化はそこまで大きくない。だからスピーカーの時みたいに低音が極端に締まりすぎ、低音の生み出すエネルギー感が失われることもない。その結果、適度に維持された躍動感と、金属(スパイク)ならではの解像感やシャープさとが共存したのではないか?

 要は「金属がいい」、「ゴムはだめだ」というどっちがいい悪いの問題でなく、「何に対して施すのか?」 (スピーカーか、アンプか、DACか等)によっても答えは変わるということだ。(蛇足だが、その音の変化を「聴くのはだれか?」によっても答えは変わる。音の好みは人それぞれだから当然だ。ゆえに「金属か? ゴムか?」みたいな素材だけを取り上げた一面的な議論は意味がない)

 とすれば試す前からマニュアル的に「金属=正しい」と思ってしまわず、自分でやってみてから答えを出すのが吉だ。何ごとも実際に聴きくらべてから結論を出す。これが人生の基本である。

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『付帯音や歪みが「味」になる音楽とそうでない音楽』

うしろの壁から距離を取れ

 オーディオに興味を持ち始めたころのことだ。専門店でDYNAUDIOのFOCUS 140がDENSENと組み合わされ、ひどくブーミーな低音を出す場面に出くわした。

「あのぅ、低音がブリブリですけど……。このスピーカーはこういう音なんですか?」

 私が聞くと、店のOさんは「後ろの壁からスピーカーを離すと変わります」と言う。そして、ひょいと両腕でスタンドごと持ち上げて壁から距離を取ると、魔法のように低音が引き締まった。

「なるほどこれがオーディオか」

 試聴に行けば、何かしら自分が変わるチャンスに恵まれるものだ。

tag : DYNAUDIOFOCUS140DENSEN

付帯音や歪みが「味」になる音楽とそうでない音楽

 ちょっと前にマグネシウム製のインシュレーターを自宅試聴したが、即、オクラ入りにしてしまった。スピーカースタンドの天板の上にかましたが、解像感のある澄んだ音にはなるけれど私の聴く音楽には合わないのだ。

 特にそれがハッキリ出たのが、70年代スワンプの雄、Jesse Ed Davisのファースト・アルバムに収録されている「Reno Street Incident」だった。スネアの音がまるでちがうのだ。

■ある種の「濁り」や雑味がグルーヴを生む音楽もある

 私はふだんはゴム系のインシュを使っているのだが、マグネシウム・インシュに替えるとスネアの音がめっきり細くなる。バスドラの重さや踏み込み感、量感も一変した。ベースギターのリズミカルな跳ね方も驚くほどちがう。リズムセクションが一体となってダイナミックにうねるドライブ感、グルーヴ感もガックリ落ちる。音楽のノリ自体がまるで変わってしまうのだ。

 付帯音のようなものがなくなりクリアになるのだが、その付帯音は「味」なのだ。似たようなことは「歪み」に関してもいえる。例えばエレクトリック・ギターのディストーションサウンドを思い浮かべてもらえばわかりやすいが、ある種の歪みはエネルギー感や躍動感を生む。音が歪んでいるからこそ、70年代のスワンプロックやR&Bの泥臭さや粘っこいノリが出る。機器が生むノイズやある種の歪みが、コクや旨みになる音楽もあるということだ。

 つまりこのマグネシウム・インシュは私が聴く音楽には合わなかったが、逆に澄み切っていればいるほど「よい」とされる音楽にはマッチするはずだ。たとえばクラシックを聴く人には好ましい音の変化だろう。透明感や解像感が増してバイオリンの響きがきれいに通りそうだし、濁りのない音ほど「Hi-Fi調でいい」と感じる人には合いそうだ。

 製品のレビューや口コミではもっぱら「よい」、「悪い」だけが取り沙汰されがちだが、「それはどんな音楽を聴いた結果なのか?」がわからなければ何の意味もないのである。
プロフィール

Dyna-udia

Author:Dyna-udia
DYNAUDIOというスピーカーに出会ったせいで、こんなブログをやってます。

SP:Dynaudio Confidence C1 platinum,
Pre AMP:Viola Cadenza,
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DAC:SOULNOTE dc1.0,
CDT:SOULNOTE sc1.0

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