最初は何の疑問もなく、SOULNOTEのsa3.0とsc1.0を同社のバランスケーブル「XL-750」で当然のようにバランス接続し、試聴していたのだ。だがふと、こんな疑問がわいた。
「これ、アンバランス接続するとどうなるんだろう?」
で、さっそくMOGAMI 2534を線材に使ったRCAケーブルでつないでみたのだ。そしたらあなた、まあぶったまげましたよ。「ケーブルで音は変わるのか?」なーんていうのがまったくバカらしくなるぐらいちがうのだ。
MOGAMI 2534はフラットで素直な音質だとばかり思っていたが、冒頭にあげたSOULNOTEのバランスケーブル「XL-750」とくらべると低域がゴリッとしていて下が太い。筋肉質で低域にみっちり密度感がある。一方のXL-750は高域の粒子がこまかく、音が鮮烈で非常に解像度が高い。
で、「こりゃ好みの問題だなぁ」と考えながら同じ曲を1曲づつケーブル抜き差しして聴きくらべるうち……だんだん比較するのがバカらしくなってきた。両者のちがいを実感するほどに、「XL-750以外では聴く気がしない」てな感じになってきたのだ。
まず解像度があまりにちがう。解像度にからきし無頓着な私がアホらしくなるくらいなのだから推して知るべしだ。XL-750の方は、ジョアン・ジルベルトがつま弾くアコースティックギターの高音弦の音が、まったくつぶれずクッキリ出る。再生がむずかしい低音弦もボケさせず、音の輪郭をはっきり聴かせる。
ヴォーカルのリアリティもすごい。つぶやくように歌うジョアンのくちびるの内側が微妙に濡れながら、口元がピチャッと音を立てているのがわかる。
またXL-750は、音を構成する成分がより細かく見分けられる感じだ。音の分離がえらくいい。特に高音のキレがよく、シンバルの響きがまるでちがう。音像の彫りも深く、音が音場いっぱいにふつふつと三次元的に満ちあふれて行く感じだ。この立体感とくらべると、MOGAMIの方は平板に感じてしまう……。
ケーブルでふつうに音は変わる。これが「同じ音だ」なんて言ったら鬼が笑うよ、まじで。
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